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電気値上げに企業悲鳴、パナ困惑「許容できぬ範囲」 空洞化で雇用悪化も

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電気値上げに企業悲鳴、パナ困惑「許容できぬ範囲」 空洞化で雇用悪化も

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 原発停止の長期化を受け、関西電力が26日に電気料金の値上げを申請するなど各電力会社の値上げの動きに対し、コスト上昇につながるとして企業の間で悲鳴が上がった。

 「経営上もはや許容できない範囲だ」(パナソニック)との声も上がり、コスト増分を価格転嫁できないことから、生産の海外移転が加速しかねない。産業の空洞化が進めば雇用の悪化を通じ、日本経済に大きなダメージを与える。

 「もうやっていけない」。日本鉄鋼連盟の友野宏会長(新日鉄住金社長)は、各電力会社の値上げの動きに憤る。産業向け料金が1キロワット時当たり3円程度の値上げが実施されると仮定すれば、「日本の鉄鋼産業全体では年間900億~1000億円のコスト増になる」(友野会長)という。

 自動車業界にとっても事情は同じ。関電管内に主力生産拠点を置くダイハツ工業の関係者は「経営にとって非常に厳しい」と頭を抱える。

 日本自動車工業会によると、今回の(電力各社による)値上げが実施されると、自動車1台当たりで2000~3500円のコスト増になる。

 国内の電力コスト増が避けられない中で、生産を電気料金の安い海外に移す動きが活発化する可能性がある。特に経営不振の家電業界で拍車がかかる恐れがある。

 パナソニックは今後、インドやブラジルなどで白物家電の工場を建設する予定だが、さらに電気料金値上げにより「国内での生産存続に大きな影響を与える」(同社)と懸念する。すでに国内工場の一部縮小を表明しているシャープも、「関電管内に多くの生産拠点を抱えており、影響を受ける」と話す。関電が10~20%値上げした場合、「年10億~20億円のコスト増」と試算する。

 デフレの環境下で、電力コスト増分を製品価格に転嫁させることが困難なことも海外移転を後押しする。大阪商工会議所のアンケートでは、約8割の企業が値上げによるコストの増加を商品価格に上乗せすることは「ほとんどできない」と回答した。

 非製造業でも事情は同じだ。関西のある食品メーカーの関係者は、「商品の価格を上げることはできず利益を削るしかない」と語った。スーパー関係者は、家庭向け料金の値上げも予定されていることから「家庭の節約志向が高まると困る」と漏らした。

 JR西日本の真鍋精志社長は「経済活動が値上げの影響を受けることが最も心配だ」と述べ、ビジネス客らの鉄道利用が減少することを警戒する。

 関電管内の企業は電力不足を背景に、徹底した節電に取り組んできたこともあり、ある流通関係者は「きつい値上げ幅。これ以上の節電はできない。打つ手は乏しい」と嘆いた。

 日本総研の山田久チーフエコノミストは、「国際的にみて日本の電気料金は高い。値上げの影響が長期化すれば、生産の海外移転が加速する」と警鐘を鳴らしている。

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