ニュースカテゴリ:企業
サービス
電力値上げ連鎖「企業努力ほぼ限界」 年明けにも3社申請か
更新
九州電力が前日の関西電力に続いて料金値上げを申請したのは、ともに原発依存度が高く、代替火力燃料費の負担に耐えきれなくなったためだ。
ただ、原発の稼働停止長期化が財務体質を悪化させている構図は、電力各社に共通している。四国、北海道、東北の3電力は、年明けにも値上げ申請に動く見通しだ。値上げ連鎖が全国に広がり始めた。
「これ以上の燃料費負担は会社を破綻させ、かえって地域に負担と迷惑をかける」-。九電の瓜生道明社長は値上げ申請後こう述べ、顧客に理解を求めていく姿勢を強調した。
原発事故前の九電の発電電力量に占める原発比率は4割で、関電の5割に次いで高かった。発電コストの安い原発を増やし、離島や山間部での設備負担をまかないながら料金を他社より低く抑える。そんなビジネスモデルが崩壊した。
ただ、値上げによる九電の経営改善は、顧客の収支悪化を意味する。日産自動車は今夏、主力小型車「ノート」の生産を神奈川県から福岡県に移したばかり。
人件費が安く成長市場のアジアにも近いためだが、担当者は「電気代上昇分をどう吸収するか、企業努力はほぼ限界」と訴える。
九電と関電がこの時期に値上げ申請したのは、4カ月程度かかる審査期間を逆算し、値上げの実施日を、大半の顧客企業と契約更改する来年4月1日に間に合わせるためだ。
一方、値上げには給与カットなど痛みも伴うため、電力会社には、「申請は衆院選後の原発政策を見極めてから判断したい」(大手電力幹部)との気持ちも強い。経営余力のある社は当面値上げを見送るが、体力がない社は、選挙後、年明けにも値上げ申請するとみられる。
このグループの筆頭が原発依存度の高い四国電力で、29日にも値上げ方針を表明する。また東北電力は「被災地復興の妨げになる」と否定してきた値上げを10月末に「選択肢」(海輪誠社長)と姿勢転換し、北海道電力も冬の電力需給にめどがついた段階で値上げに動く見通しだ。
一般家庭では、値上げ負担を軽減する手段も限定される。日本総研の試算では、各社が値上げのみで今年度の赤字額を埋め合わせた場合、2人以上の世帯の家計負担は平成22年度と比べ年3万2千~3万7千円増える見通し。値上げによる電力会社の経営改善は、消費を冷え込ませ景気を悪化させる代償も伴う。