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緊張の関電に“ぶっちゃけ発言” 専門委トップに周囲ハラハラ

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緊張の関電に“ぶっちゃけ発言” 専門委トップに周囲ハラハラ

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安念潤司委員長(右から2人目)の発言は、電気料金審査専門委員会の「名物」のひとつになっている=11月29日、東京都千代田区(宇野貴文撮影)  関西電力と九州電力が政府に認可申請した家庭向け電気料金の値上げが妥当かどうかを調べる有識者委員会「電気料金審査専門委員会」(委員長=安念潤司・中央大法科大学院教授)が始まった。

 33年ぶりとなる値上げの申請に踏み切った両社には、早くも企業努力や情報開示を求める声が噴出。専門委の安念委員長は5月に値上げを認可申請した東京電力について「会社更生法を適用しておくべきだった」と述べるなど“ぶっちゃけキャラ”で知られ、今後も爆弾発言で関電や九電をメッタ斬りするかも!?

 ぶっちゃけ委員長の本音

 「最初から脱力させてしまうかもしれませんが、この仕事は、何もいいことはありません」

 東京都内で11月29日に開かれた専門委の初会合。社員ら約10人を従え、準備万全の状態で臨んだ関電の八木誠社長のほか、九電の瓜生道明社長も出席し、緊張感が張りつめる中、あいさつに立った安念委員長は委員たちにこう言い放った。

 「(値上げ幅を)削らなければ、(利用者から)おしかりを受け、削れば電力会社との関係が悪くなる。どなたにもご迷惑をおかけしてしまう」

 利用者と電力会社の間で“板挟み”となる苦しい立場を自虐ユーモアを交えて語ると、会場の傍聴者からは失笑がもれた。

 専門委は、中立的、客観的かつ専門的な観点から電気料金の査定方針案を作成し、経済産業相に示すのが仕事。最終的に値上げ申請を認可するのは経産相だ。会合は公開が原則で、自治体、消費者団体、産業界関係者らが意見を述べることも認めている。

 16%削減に「考えが甘い」

 初会合では、関電、九電両社への不満が早くも噴出した。

 11・88%の値上げを認可申請した関電が社員の平均年収を従業員1千人以上の大企業平均(649万円)を目安にして、16%減の664万円にする方針を示したのに対し、兵庫県の井戸敏三知事は「考えが甘いのでは」とチクリ。

 従業員50人以上の事業所と比較されて給与が決まる公務員のケースを引き合いに出し、「身を切るような経営努力を示してほしい」と、さらなるコスト削減を求めた。

 その効果か、関電は12月5日、来年夏の賞与(ボーナス)の支給見送りを柱とする人件費削減を労働組合に提案した。

 また、人件費や燃料費などと送電にかかる費用を「原価」として積み上げ、電力会社のもうけを上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」についても、「わかりづらく不透明。利用者の理解を得るには、徹底した情報公開とコストカットが必要だ」(北九州市消費者団体連絡会の陶山恵子氏)との指摘があった。

 「東電は会社更生すべきだった」

 東京電力が5月に値上げを許可申請した際も、消費者の不満は爆発した。

 専門委の会合にオブザーバー参加した全国消費者団体連絡会事務局長の阿南久氏(現消費者庁長官)は「家庭が電力を選べるよう、総括原価制度を見直すべき」と主張。「株主や銀行の責任を問わずに(配当や利払いに充てる)事業報酬を電気代に上乗せするのは反対だ」と強く訴えた。

 これに対し、安念委員長は「一法律家としてぶっちゃければ、最初(の処理)を間違えた。100%減資して、銀行に泣いてもらえばよかった」と応じた。

 一方で、会社更生法では原発事故の賠償対応が難しいとも強調した。

 「政府が(東電を)つぶさないと決めちまったんだから、どう言っても追いつかない話」

 「了解できないんだけれども、耐え難きを耐え、忍び難きを忍びながら議論している」

 こんな調子でぶっちゃけまくり、周囲をハラハラさせた。

 専門委は7月5日、料金原価に盛り込まれている燃料調達費や事業報酬、社員の健康保険料の会社負担などの削減を求める査定方針を作成したが、消費者庁は人件費や原発関連費用の一段の削減を要求。

 結局、管理職の社員年収は原発事故前より3割削減され、申請時は10・28%だった値上げ幅は最終的に8・46%まで圧縮された。

 高浜再稼働できなければ…

 関電と九電の値上げ認可について議論する専門委の初会合では、委員会メンバーからも「重要なのは何%削減するのではなく、絶対水準」(松村敏弘委員)、「利用者の納得を得るには人件費など目につきやすいコストを削るのが重要」(永田高士委員)といった厳しい意見が相次いだ。

 八田達夫委員は、関電の値上げ計画に盛り込まれた高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の来夏の再稼働について「もしダメになったときに、火力など代わりとなる電源は準備しているのか」と質問。

 これに対し、八木社長は「そのときに考えたい。火力発電の新設は時間がかかり無理だ」と答え、苦渋の表情を見せた。

 また、値上げ計画を説明する際は緊張した様子で手元の資料と安念委員長のほうへ交互に目をやりながら整然とした口調で報告。

 委員らとのやりとりで、細かい数字の説明を迫られると「◯%だよな?」と隣の部下に確認する場面も。一層の経営努力の必要を求められると、八木社長、社員らは神妙な面持ちでうなずいていた。

 会合は午前9時~正午の予定で、時間は少しオーバーしたものの、トラブルなく終了した。

 次回会合(12月12日)からは人件費など原価の内容を本格的に協議。それ以降のスケジュールは未定で、回数は状況に応じて決まる。来年1月28日には大阪市内で関電の、31日には福岡市内で九電の値上げに対して利用者が意見を述べる公聴会も開かれ、2~3月をめどに査定方針をまとめる予定だ。(宇野貴文)

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