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中小×若者の雇用ミスマッチ 人材サービス各社、支援ビジネス強化

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中小×若者の雇用ミスマッチ 人材サービス各社、支援ビジネス強化

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 人材サービス各社、支援ビジネス強化

 人材サービス業界が、中堅・中小企業の潜在的な求人ニーズを探し出し、若者に伝えるビジネスを強化している。大企業志向が根強い若年求職者と、国際競争時代を生き抜く有能人材の獲得に悩む中堅・中小の間に存在する「ミスマッチ」がいまだ解消されていないためだ。日本経済の再生を左右しかねない問題だけに、政府の雇用施策を支える人材サービス各社の役割も増しそうだ。

 ミスマッチ解消

 「求める人材像を直に伝えないと、ほしい学生が集まらない」

 昨年12月、東京都千代田区で開催されたエン・ジャパン主催の就職支援イベント。参加した新日本ウエックス(名古屋市港区)の人事担当者は、自社に合う有能人材を集める苦悩について打ち明けた。

 同社はユニホームなどの業務用繊維製品のレンタルと管理で成長し、売上高は約150億円に上る。しかし、学生はインターネットの求人情報サイトを通じて、知名度と待遇で抜きん出た大手に応募する「就社活動」に走る。このため、中堅の同社でさえ採用に苦戦する。中小、零細と規模が小さくなるほど膨大な求人情報のなかに埋没してしまうのは明らかだ。

 この傾向は、リクルートワークス研究所の調査で裏付けられる。学生1人(今春卒業予定の大学・大学院生)に対する企業の求人状況を示す大卒求人倍率を従業員数でみると、1000人以上の大企業は1倍を下回る。一方、中堅・中小は、1000人未満が1.79倍、300人未満では3.27倍。企業規模間の求人倍率の差は年々縮小しているが、ミスマッチ解消には至っていない。

 こうした中、リクルートキャリアは、新卒・既卒者と中堅・中小の出合いから始まる就職サービス「リクナビダイレクト」を2011年10月に始めた。

 特徴は、書類選考なしで求人企業に出合える点。自身の就職条件にこだわるあまり求人企業を安易に切り捨てる学生が多い現状を踏まえた取り組みだ。

 同サービスには約1000社が求人情報を掲載する。今後も掲載社数の拡大を狙う一方、「企業と若者のマッチング精度を高める」(新卒事業本部)考えだ。

 働きながら「就活」

 パソナグループは、「パソナフレッシュキャリア社員制度」の拡充に取り組んでいる。同制度の1次選考を通った学生は、ビジネスマナーなどを養う基礎研修を経て、契約社員としてパソナグループまたはパートナー企業(派遣先)に最長2年間勤務、働きながら就職に備える。営業や財務などの高度専門職研修も受講可能だ。

 対象は、卒業を間近に控えながら内定が取れない学生や新卒未就職者。同制度プロジェクト事務局の土田浩子マネージャーは「学校卒業後の『空白期間』をなくすことが制度を創設した狙い。夢や目標を実現するための一歩にしてほしい」と強調する。

 制度を利用するパートナー企業約2700社のうち6割以上が中堅・中小。パートナー企業に利用費を求めない社会貢献型のため、採用に労力やコストを割く余力がない企業でも参加しやすい。13年度をめどに4000社に引き上げることが当面の目標だ。

 全国規模へ課題は官民協働

 中堅・中小・ベンチャーの専門求人サイトで先行するエン・ジャパン。同社は、企業規模では計れない「人財育成力」「独自力」などの5つの力に注目。その観点から取材・分析し、厳選した「力のある企業」の求人情報を掲載してきた。

 この実績を土台に今年4月、「入社後活躍支援企画」を立ち上げる。求人広告の掲載から人材定着支援まで手がけ、入社後3年間はフォローする。

 これを機に、社内に「キャリアサポートセンター」を新設。中小に入社した新社会人が働く課程で芽生えた悩みや相談事を電子メールで受け付け、必要に応じて人事部門などに報告したり、問題解決のためのサポートを行ったりする。

 同社の小川泰正・新卒採用支援事業部長は「新社会人が他の中小企業の同世代と交流する機会も用意し、刺激を与えたい」との構想も温めている。

 とはいえ、民間によるミスマッチの緩和策には限界がある。長引く雇用環境悪化で低迷する若者の就職意欲を高める根本課題を残す上、「中小と学生の出合いを全国規模の『面』に広げる」(鈴木正徳・中小企業庁長官)展開も途上だからだ。

 インテリジェンスは、都内優良中小企業を訪問する東京都主催の「仕事体験ツアー」を受託するなど、官民協働の就職支援で実績を積む。約9兆円規模の人材サービス産業は、機動的な営業・企画力を蓄積する。その知見を生かす官の手腕も問われる。(臼井慎太郎)

 中堅・中小企業は大卒新卒者とのミスマッチ、産業構造の変化を踏まえた人材育成といった問題に直面している。雇用から人材育成・定着、そして戦力化に向けた企業・団体や政府、自治体などの動きを追っていく。

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