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真剣勝負の“ダイキン五輪” 板金、溶接など全9種目で競う…その狙いは?
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「ろう付け」競技では、国内外から計48人が技を競った=昨年10月、ダイキン工業滋賀製作所(滋賀県草津市) エアコン大手のダイキン工業は、グループの技術力アップを狙いにした「技能オリンピック」を2年に1回開催している。“オリンピック”だけに、世界各国にある生産拠点からえりすぐりの技術者が集まり、それぞれの種目ごとに腕を争う。
世界市場で勝ち残るためには、なんといっても技術力の向上は終わりのない課題。「参加することに意義がある」なんて生やさしいものではなく、文字通り真剣勝負の大会だ。
技能オリンピックの開催場所は滋賀製作所(滋賀県草津市)など3工場。ここに世界各国にある生産拠点から技術者が集まる。タイ、中国、インド、ベルギー、イギリスなど、さまざまな国が“選手団”を送り込む。
種目は全9種。うち8つが主力のエアコン事業関連だ。配管のつなぎ目を接合する「ろう付け」、金属板を加工する「板金加工」、工作機械で切削する「普通旋盤」、金属同士を接合する「アーク溶接」、最終的な加工である「治工具仕上げ」…。
さらに、設備に不具合が生じたときの処理能力をみる「機械保全」や「金属塗装」、「フライス盤」という工作機械の使いこなしを競うものもある。
昨年10月に開催された第5回大会は、日本から77人、海外から61人の計138人が参加。最も参加者の多い「ろう付け」では48人が技術を競った。
配管に設けられた14カ所のつなぎ目を、いかに早く正確に処理するかが審査のポイント。1人の競技者に2人の審査員が張り付き、ガスバーナーの火の調整のしかたなど、一挙手一投足に目を光らせた。
大会の期間は5日間。海外からの参加者は約1週間日本に滞在し、事前の練習を経て3日目に本番を終える。最終日には表彰式が開かれ、1~3位にメダルが授与される。
その一方で、競技が終了したら、日程を利用して日本の工場を見学するなど、日本と海外の技術者の交流の面でも貴重な機会になっている。
このオリンピックを支えるのが、同社が導入している「マイスター&トレーナー制度」。
マイスターは最も熟練した技能をもつ技術者に与えられる称号で、現在31人。技能検定試験で1級の腕前を持ち、所定の教育を受けた優秀な技術者が選ばれる。グループの技術者のなかで最上位に位置し、社内の技術を戦略的に伝承する使命をもつ。
「トレーナー」はその下に位置し、グローバルトレーナー、地域トレーナー、拠点トレーナーに分かれる。技能オリンピックで上位に入ると、このトレーナーになるための研修を受けることができる。
「世界の技術者と戦って刺激を受けた」。オリンピックに参加することで、自らの技能アップに意欲を燃やす技術者が多い。
同社の進めるグローバル戦略に比例し、毎回外国人の参加が増加。優秀な技術者も多く参加するようになった。
これまで毎回1~2人の外国人メダリストが誕生。第4回は「アーク溶接」でタイの技術者が金メダルを獲得したが、今回は同種目で1、3位を中国人、2位をインド人と外国人がメダルを独占し、過去最多の3人を記録した。
今日、製品の品質や生産コストを追求するために、企業は生産工程の自動化をどこまでも追求する。そんな時代にあって、同社が「人の手」による技術を重視する理由は何だろう。
「テレビやパソコンと違い、エアコンはアナログな部分が多いのです」(広報室)という。
また、同社はここ数年、積極的なM&A(企業の合併・買収)で、事業のグローバル展開を急速に進めており、「そのアナログな部分を、どの地域でも同じ品質で作れるようにすること」も大きな狙いだ。
同社は昨年、米空調大手のグッドマン・グローバルを買収した。海外展開を加速する中、今後、高度な技術をもつ新たな“選手”の参加も増えそうで、同社の技術力にますます拍車がかかりそうだ。(中山玲子)
本社=大阪市北区中崎西 2-4-12梅田センタービル
設立=昭和9年2月
事業内容=業務用・家庭用空調機、化学品などの製造販売
売上高=1兆2187億円(平成24年3月期連結)
従業員数=4万4110人(同3月末)