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日本勢、56インチ有機ELで逆襲 パナソニックとソニー、高付加価値路線へ
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ソニーが披露した4K対応の有機ELテレビ=7日、米国ラスベガス パナソニックは8日、次世代テレビ技術として期待される56インチの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルを開発したことを明らかにした。米ネバダ州ラスベガスで9日(現地時間8日)に開幕する家電見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で発表する。
従来の液晶パネルに比べて、色鮮やかで動画性能に優れる有機ELの開発で先行するサムスン電子など韓国勢に対抗する。ソニーも8日、同じく56インチの有機ELの開発を発表。日本メーカーは高画質・大画面の高付加価値路線で、不振のテレビ事業の巻き返しを目指す。
パナソニックとソニーが開発したのは、フルハイビジョンの約4倍の解像度を持つ「4K」に対応した有機ELパネルの試作機。4K対応の有機ELでは56インチパネルが世界最大。両社とも発売時期や価格などの詳細は未定としている。
有機ELは、省エネ性能が高く、「コントラスト(明暗)がはっきりしている」(ソニーの平井一夫社長)など画質に優れる。ただ、技術的に量産化が難しく、昨年の商品化を目指していたサムスン電子やLG電子もいまだ発売には至っていない。
パナソニックは今回、有機ELで提携するソニーの協力を得てパネルを開発。ソニーも台湾の友達光電(AUO)と共同で試作した。有機ELの開発を加速し、テレビ事業の収益改善を狙う。
CESの開幕を前に各社は7日(日本時間8日)、相次いで「4K」に対応した液晶テレビを発表。シャープは液晶テレビ「アクオス」ブランドの4Kテレビを初披露。米国では10月以降に投入する。ライバルの韓国勢も、サムスン電子は85型、LG電子は65型と55型の液晶テレビを同日、それぞれ発表した。
業績不振の日本メーカーは、不採算のテレビ事業の縮小を余儀なくされている。このため、シェアを追わず、有機ELや4K液晶といった利益率の高い高画質・大画面テレビの販売にシフトする戦略だ。(米ラスベガス 米沢文)