SankeiBiz for mobile

大型4Kで変わるテレビ勢力図 生き残り懸けた電機各社の戦略とは

ニュースカテゴリ:企業の電機

大型4Kで変わるテレビ勢力図 生き残り懸けた電機各社の戦略とは

更新

50型以上薄型テレビのメーカー別シェア  テレビの販売不振を背景に、電機各社はフルハイビジョン(HD)の約4倍の解像度をもつ「4K」や有機EL(エレクトロルミネッセンス)などの新技術を駆使し、高精細な大型テレビの市場投入を急いでいる。価格も安定しているためで、ソニーや東芝は、高級大型テレビの構成比を高めて、収益改善を図る。

 一方、シャープやパナソニックは、売れ筋の中小型の構成比が上昇しており、大型テレビをめぐるシェアで変動が起きている。ただ、4Kなど高精細大型テレビの顧客獲得競争はこれから本番を迎える。生き残りを懸けた電機各社の戦略が問われる。

 品ぞろえ拡充

 米ネバダ州ラスベガスで開かれた国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」開幕を翌日に控えた今月7日(現地時間)。世界中から十数万人の参加が見込まれるとあって、各社は競うように最新技術を披露した。

 ソニーは、4Kに対応した56型有機ELテレビを公開した。ところが舞台袖から登場した試作機の画面は真っ青で、本来流すはずの画面に切り替わらなくなるトラブルに見舞われた。

 「4Kだと何も映っていない画面でも美しいでしょう」。平井一夫社長は流暢(りゅうちょう)な英語でジョークを飛ばし「『ワオ!』と言ってもらえるような商品を出していきたい」と締めくくった。その後、正常画面に戻った試作機の前に多くの記者が集まり、画質の美しさを確認した。

 ソニーと有機ELの技術開発で提携するパナソニックも、4K対応の56型有機ELテレビを披露。独自技術を盛り込み「競合他社よりも大きく、より手ごろなパネルをつくることができた」と津賀一宏社長は訴えた。

 2011年に世界で最初に4Kテレビを製品化した東芝は、ラインアップの拡充を急ぐ。春以降に発売する58型と65型は、1インチ当たり1万円以下と、他社よりも安い価格で販売する考えだ。深串方彦執行役専務は「4Kを家庭で楽しめる時代を切り開く」と述べ、4K普及に強い自信をみせる。

 一方、シャープは4Kテレビの最高級ブランド「ICCピュリオス」を投入。60型を2月に国内、今夏には米国でそれぞれ発売する計画だ。

 テレビは、部屋の広い北米を中心に大型化が進んできた。ただ、従来のフルHDだと画面が大きくなるほど画質が落ちるというジレンマがあった。4Kや有機EL技術の確立によって、この問題を克服できるようになった。テレビの価格下落が続く中、各社は4Kや有機ELを軸に、高付加価値型の大型テレビで成長に向けた青写真を描く。

 一方で、現状は厳しい。テレビのコモデティ(汎用(はんよう)品)化で価格下落が続くからだ。調査会社のBCNによると、昨年12月の画面サイズ帯別薄型テレビの国内販売台数と金額は、30型台が前年同月のほぼ半分に下がるなど中小型は前年割れが続く。これに対し、50型以上は台数が21.1%増、金額が13.1%増と唯一のプラスで単価が上昇した。

 シャープシェア急落

 50型以上の大型テレビ市場で存在感を高めているのはソニーと東芝だ。BCNによると、ソニーは昨年9月にパナソニックを抜いて2位に浮上。4位の東芝は同6月まで1%前後で低迷していたシェアが昨年末には2桁をうかがうところまで上昇した。この勢いを駆って、58型以上で4Kの構成比を13年度見込みの約40%から、15年度には約90%に高める計画だ。この2社は、4Kを切り札にした攻めの戦略で攻勢をかける。

 テレビ全体ではトップシェア(45.3%)のシャープ。「価格を下げたことで、中心的な20型、30型が売れた」(BCNの道越一郎アナリスト)ため、過去半年間で20ポイント近くシェアを伸ばした。一方で、50型以上のシェアは昨年4月の74.7%から同12月は44.6%に急落した。それでも、市場ではソニーの2倍弱の支持を得ているのだが、道越氏は「大型テレビで収益を上げていく構想が、思い通りにいっていないようだ」と指摘する。

 パナソニックも50型以上の製品展開を進めているが、20型未満を中心に小型テレビの比率は依然として高い。

 大型テレビは昨年、シャープのシェアをソニーと東芝が奪う形で推移した。それでは「画像のリアリティーの高さが魅力」(道越氏)の4Kではどんな勢力図が描けるのか。

 「付加機能ではなく、本質機能を先鋭化させた製品が生き残る」と道越氏は分析する。価格が安定する大型テレビでの優越が業績にも直結しかねず、4Kを軸とした市場争奪戦が始まる。(米沢文)

ランキング