ニュースカテゴリ:企業
メーカー
日本の電池技術、海外流出阻止へ ソニーなど3社で事業統合検討
更新
自動車用リチウムイオン電池の世界市場 官民ファンドの産業革新機構が、日産自動車とNEC、ソニーが手掛けるリチウムイオン電池事業の統合を検討していることが25日、分かった。統合の際、産業革新機構が出資する方向で関係者間で協議している。国内企業で再編を進めることで、電子機器の重要部品であるリチウムイオン電池技術の海外流出を防ぐ。
ソニーは、電池子会社「ソニーエナジー・デバイス」で、パソコン向けなどの小型電池を手がけている。一方、日産とNECは共同で電池子会社「オートモーティブエナジーサプライ」を立ち上げ、電気自動車(EV)向け電池を生産している。
事業統合は、オートモーティブエナジーサプライが、ソニーエナジー・デバイスの株式の大半を取得し、革新機構が出資する案を軸に検討している。
携帯電話などに使われるリチウムイオン電池は、ソニーなど日本企業が世界市場で高いシェアを誇っていた。しかし、韓国企業が低価格で攻勢を強め、日本勢はじわじわとシェアが下落。ソニーは、経営再建策の一環として、リチウムイオン電池事業を、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などに売却することを検討していた。
3社は、再編により価格競争力を付けて、世界市場での巻き返しを図りたい考えだ。革新機構側は、国内企業同士での再編を進めることで、リチウムイオン電池技術の海外流出を防ぐ狙いがあるとみられる。
ただ、業界内では双方の事業形態の違いから、今回の交渉に疑問を呈する声もある。
オートモーティブエナジーサプライは、日産のEV「リーフ」などに搭載する車載用電池を製造する専業メーカー。一方、ソニーエナジー・デバイスも、市場参入を目指して車載用電池を開発中だ。車載向け電池では現在は日本勢が優位を保つが、韓国や中国といった海外メーカーの技術力も向上しており、ソニーの電池技術を取り込むことは日産側にも一定のメリットがある。
また、統合による生産規模やシェア拡大で、一部の電池原材料の調達コストや製造費用の削減なども見込めるのは確かだ。
しかし、スマートフォン(高機能携帯電話)向けなどの民生用電池と車載用電池は容量や求められる品質も大きく異なる。このため統合による実際の相乗効果は限られ、今後、成長期待の大きい車載用市場での競争力の大幅な底上げにはつながらないとの見方もある。
今回の統合話は、非中核の事業を整理したいソニーが売却を急ぎ、「電池技術が海外流出することを危ぶむ国の意向が色濃く、交渉の拙速感は否めない」(アナリスト)との指摘もある。3社の交渉へのスタンスには温度差もあり、合意に達するかは流動的だ。