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中国勢の猛追に焦るサムスン シャープ資本提携は安くて良い買い物?
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シャープ本社=大阪市阿倍野区 薄型テレビなどで激しい国際競争を繰り広げてきたシャープと韓国・サムスン電子が資本提携に踏み切った背景には、業績回復のため液晶パネルの供給先を拡大したいシャープと、事業構造の転換を迫られるなかで効率的な投資を徹底したいサムスンの思惑が一致したことがある。両社はそれぞれ苦境に直面しており、協力関係構築に大きくかじを切る。
自己資本比率が9・6%(昨年12月時点)まで劣化しているシャープにとっては財務基盤強化が喫緊の課題だ。
台湾の鴻海精密工業がシャープの第三者割当増資を引き受け、669億円を出資する契約は株価急落の影響で価格や出資比率の交渉が難航。
払い込み期限の今月26日で契約は白紙となる見通しで、シャープは抜本的な資本増強策を迫られていた。
また、シャープは今回の提携をきっかけに液晶パネルの供給を拡大し、スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末向けの中小型液晶も長期に安定的に供給することで、米アップルのスマホ「アイフォーン」などの受注減をカバーし、亀山工場(三重県亀山市)の稼働率を上げたい考えだ。
また、サムスンによる出資はシャープの業績向上と信用補完につながる。シャープと金融機関は1千億~2千億円規模の資本増強が必要との見方では一致しており、検討中の公募増資などが株式市場に受け入れられやすくなるとみられる。
一方、サムスン電子に詳しい業界関係者は、「(サムスンは)すでに背中に中国勢の足音が聞こえているはずだ」と指摘する。
サムスンは、巨額投資によるデジタル製品の汎用化などで液晶テレビやスマホで世界のトップに駆け上がった。ただ、中国をはじめとした新興国企業がサムスンと同じやり方で猛追している。
このためサムスンにとっては、ヘルスケア(医療・健康機器)や環境エネルギー分野など、新事業のM&A(企業の合併・買収)に資金を使う必要があり、液晶事業に新たに投資する余裕はないのが実情。これに対しシャープとの資本提携は投資リスクを抑えつつ、安定的に液晶パネルを調達できる利点があった。
経済ジャーナリストの財部(たからべ)誠一氏は「サムスンにとっては、最低限の出資でパネル調達をスムーズに拡大したい意向が働いている。安くて良い買い物をしたということだろう」と指摘している。