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シャープ、社債償還へ自前調達に転換 鴻海との業務提携は維持か
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シャープ・奥田隆司社長 経営不振に陥っているシャープが、最大2000億円規模の資本増強の実施に向けて検討に入ったことが22日、分かった。
公募増資などで資金を調達し、9月に期限を迎える社債約2000億円の償還原資などに充てる予定。シャープは新株発行に伴う株価下落を避けるため、資本・業務提携契約を結んだ台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や、米インテルなどから出資を仰ぐ方向で交渉してきたが、難航している鴻海との交渉をいったん打ち切ることも視野に、自前での資金調達に切り替える方針だ。
シャープは、近く発表する中期経営計画で資本増強や今後2~3年間の具体的な成長戦略を示し、金融機関や投資家の理解を得たい考え。経営計画の発表は3月を当初予定していたが、金融機関との最終調整に時間がかかっており、4月にずれ込む可能性が高い。
シャープの純資産は2012年12月末時点で約2181億円となっており、経営の安定度を示す自己資本比率は約9.6%に低下している。
今後、株主資本を上回る損失の計上を余儀なくされた場合、債務超過に陥る可能性があることから、増資によって自己資本比率を16%前後にまで高める考えだ。
シャープは12年3月に鴻海と資本・業務提携契約を結び、発行済み株式の9.9%に当たる出資を鴻海から受けることで基本合意。鴻海グループを引受先として1株550円で計約669億円の第三者割当増資を計画していたが、昨春以降のシャープの株価下落を受け、出資条件の見直しを行うことになった。
しかし、3月26日に出資の払込期限を迎える鴻海との交渉は、株の買い取り価格などをめぐって調整が難航。シャープ関係者は「まとまる気配はない」と淡々と話す。
シャープは払込期限の延長なども提案したものの、協業分野をめぐる意見の対立もあって両社の溝は埋まらず、鴻海との交渉は見直さざるを得ないと判断したもようだ。
ただ、大型液晶パネルを製造する堺工場(堺市)の共同運営など、鴻海との業務提携は維持する方向とみられる。
シャープは業績悪化による格付けの低下で社債発行などが難しくなり、インテルなど複数の有力企業にも出資を要請した。しかし、現時点で交渉がまとまったのは米半導体大手クアルコムの約50億円だけにとどまる。
今回の資本増強は、公募増資と金融機関への第三者割当増資を組み合わせた形などが検討されている。今後、主要取引銀行などと協議した上で、具体的な方策をまとめる考えだ。
ただ、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」への期待感を背景に株高が進み、シャープの株価は22日終値で310円と、12年の最安値(142円)に比べて大きく改善した。
12年10~12月期連結決算で5四半期ぶりの営業黒字に転換し、業績も「最悪期は脱した」(金融機関大手)との指摘もある。
もっとも、銀行側が融資継続の前提条件とする12年10月~13年3月の営業黒字化が果たせなければ、再建策も画餅となる。資本増強とともに、本業の回復に向けた取り組みの強化がシャープには欠かせない。