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勢力図激変!? スマホOS第3極、2強崩しへ虎視眈々

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勢力図激変!? スマホOS第3極、2強崩しへ虎視眈々

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スマホ用OSの主な参加企業  TIZEN、Firefox陣営に注目

 スマートフォン(高機能携帯電話)用の新たな基本ソフト(OS)「TIZEN(タイゼン)」がシェア20%獲得に向けて活動を本格化する。OS開発企業には今月中にも世界最大の通信機器メーカー、中国ファーウェイが加わり、米インテル、韓国サムスンとともに主導する。日本企業では、NECと富士通も来年後半に対応端末を投入する。米グーグルの「アンドロイド」とアップルの「iOS」で9割以上を占めるスマホ用OS市場の勢力図を塗り替える可能性も出てきた。

 NEC、富士通も投入

 「世界シェア20%は取らないとだめだ」

 2月25~28日にスペイン・バルセロナで開かれた携帯電話の国際展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」に出席したNTTドコモの永田清人取締役執行役員は、スマホ用OS市場でタイゼンのシェア目標を口にした。

 永田氏は同展示会閉会までタイゼンの普及組織「タイゼン・アソシエーション」の議長を務めた。MWCの場でドコモは同OS搭載のスマホを今年後半に発売するなどの事業展開を説明し、「第3のOS」を目指す方針を明確にした。

 タイゼンはオープンOS「Linux」をベースに、インターネットの標準言語「HTML5」で作られたスマホ用OS。OSの設計図といえるソースコードを公開、通信事業者やアプリ(ソフト)開発企業の自由度が広がり、サービスを展開しやすくなることが最大の特徴だ。

 米調査会社IDCによると、スマホ用OSの2012年の世界シェアは、首位のアンドロイドが68.8%、2位のiOSは18.8%で、3位以下を大きく引き離している。アンドロイドは10~12月には70.1%に達しており、さらに拡大する勢いだ。

 アンドロイドは仕様公開によって陣営を拡大してきたが、iOSよりオープンとはいえ、グーグルの承諾なしに独自サービスを提供しにくい。このため、通信事業者にとっては「不満がないわけではない」(大手通信事業者)。

 通信事業者の「保険」

 タイゼンはアンドロイドの急激な勢力拡大に危機感を抱いた端末メーカーや通信事業者の「保険」ともいえる存在だ。

 開発の中核企業にはファーウェイが加わり3社となるほか、NECカシオモバイルコミュニケーションズ、富士通、パナソニックモバイルコミュニケーションズなど国産端末メーカーも参加。通信事業者ではドコモや仏オレンジ、英ボーダフォン、韓国KTなどが名を連ね、第3のOS勢力づくりは整った。

 タイゼン搭載スマホはまずサムスン電子が今夏にも投入し、ドコモとオレンジが今年後半に発売する見通し。ドコモの加藤薫社長は、「端末とネットワークとサービスで総合的に価値を提供したい。アンドロイドはオープンだが、グーグルの一定の管理下にある」と新OSの必要性を説く。

 MWCでは投入時期を表明しなかったNECと富士通も、来年後半には製品化する計画だ。NECは主力ブランドの「メディアス」に加える。富士通は「(タイゼンに使われる)HTML5の普及次第」としながらも、主力機種での展開の可能性を示唆する。

 国産メーカーはタイゼンの開発中核企業ではないが、「いま先頭集団に入る余裕はなくても、2位グループで準備を進めている」(NECの坂口佳史共通基盤開発本部長)と、タイゼンによるビジネスチャンス拡大を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 第3極2陣営 早期の連携も必要

 ただ、新OSはもう一つ存在する。タイゼンと同様にHTML5ベースのOS「Firefox(ファイアフォックス)OS」だ。非営利団体モジラ財団傘下のモジラが開発するこのOSは、サポート表明企業がタイゼンよりはるかに多く、MWCでも注目を集めた。

 通信事業者はKDDI、ドイツテレコム、チャイナユニコムなど18社、端末メーカーは韓国LG電子、米クアルコム、中国ZTE、ソニーモバイルコミュニケーションズなど6社。今夏にはスペインテレフォニカがブラジルやメキシコ、ハンガリーなど各国で販売すると表明。タイゼンよりビジネス展開で先行している。

 ファイアフォックス陣営に名を連ねるKDDIの石川雄三取締役執行役員専務はMWCで、「タイゼンはメーカーが開発を主導しているため、垂直統合になりやすい」とファイアフォックスを選んだ理由を説明した。

 しかし、同じインターネット言語で開発されたアプリは、わずかの改良で相互に利用できるようになるため、第3のOSとしては同じ勢力といえなくもない。このため、ファーウェイ、KTのように両陣営に参加する企業は今後も増えそうだ。

 タイゼンの普及組織で永田氏の後任議長に就任したドコモの杉村領一マーケティング部担当部長は「HTML5環境ではOSはどうでもよくなる。ゆくゆくはどちらでも動くようにしなければ」と、両OSの違いはなくなると予想する。

 出自は違っても、同じ問題意識から生まれた2つのOS。“異床同夢”の両陣営がスマホOSの第3極に浮上するには、早期の連携が欠かせない。(芳賀由明)

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