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近鉄「しまかぜ」超人気 伊勢志摩に観光客を呼び込む“特攻隊長”
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近鉄が運転を始める観光特急「しまかぜ」(柿平博文撮影) 大阪、名古屋と伊勢志摩を結ぶ近畿日本鉄道の新型観光特急「しまかぜ」が21日にデビューする。これに先立ち7日に報道向け試乗会が開かれ、記者はゆったりとした座席、大きな窓からの眺めを楽しむぜいたくな時間を体感した。
“新たな鉄道の旅”を提案するという近鉄の狙い通り、チケットは好調な売れ行き。また近鉄百貨店でも限定商品を発売するなどグループ全体でデビューを盛り上げ、最重要拠点と位置づける伊勢志摩への誘客を加速する。
しまかぜは、大阪難波駅(大阪市)、近鉄名古屋駅(名古屋市)と賢島駅(三重県志摩市)をそれぞれ水曜を除き1日1往復する。
記者がしまかぜに乗り込んだのは大阪上本町駅(大阪市)。白地にブルーのラインが入った精悍(せいかん)な外観を横目に車内に入ると、内装はクリーム色を基調とした落ち着いた雰囲気。このギャップが実にいい。
3列シートの革張りの座席に座ると、体がゆっくりと沈みこむ。前の座席との間隔が実に広いことに気づく。これなら大柄な男性でもゆったりと座れる。リクライニングや足置き、腰部の硬さは、自分の好みに調節できる。うっかりすると眠ってしまいそうな心地よさだ。
いざ出発進行。揺れが少なく、運行はスムーズそのもの。新幹線に乗っているような乗り心地だ。
先頭と最後尾の車両を訪れると、展望車両となっている。大きな窓から緑豊かな田園の風景などが飛び込んできた。ほかの車両より床が高くなっており、高い視線で景色を楽しめる。
しまかぜではこのほか、和洋の個室を1室ずつ用意したほか、大きなテーブルがあるサロン席、カフェ席などを備える。窓に面して座るカフェ席などでは、海の幸をふんだんにつかった「海の幸ピラフ」や、松阪牛の「松阪牛カレー」、アルコール類などが味わえる。ぜいたく感に花を添える。
6両編成で定員は138人。料金は大阪難波-賢島間で4810円、近鉄名古屋-賢島間で4480円。このほか、和洋の個室の利用には1室1千円かかる。
大阪難波、近鉄名古屋から賢島までは2時間~2時間20分程度。ただ、これだけ快適なら「もっと乗っていたい」という向きも多いのではないか。
それだけにチケットの売れ行きは好調だ。1カ月前から売り出すが、先月21日に販売を始めたところ、大阪難波発の初日分は2分で完売。現在、4月18日までの分がほぼ売り切れているという。近鉄名古屋発も平日は若干余裕はあるが、同日までで売れ行きは非常にいいという。
「単なる移動ではない。鉄道の旅を見直してもらいたい」という近鉄の思いは早くも通じている?
デビューに合わせ、近鉄百貨店上本町店(大阪市天王寺区)では21~26日、しまかぜ車内で販売するおみやげ品や沿線の「うまいもの」などを販売するフェアを開催。
グループの売店やレストランなどでは20日~4月7日、しまかぜ乗車券などのプレゼントキャンペーンを実施するほか、この期間はレストランで沿線の名物を使ったメニューもお目見え。“しまかぜムード”をグループ一丸で盛り上げる。
近鉄は伊勢志摩を誘客の最重要拠点と位置づける。しまかぜ投入は、今秋に予定される伊勢神宮(三重県伊勢市)の式年遷宮に合わせて進めてきた一大事業だ。CMに女優の壇れいさんを起用し、歌手のクリスタル・ケイさんがCMソングを担当という力の入れようだ。
加えて、近鉄では伊勢神宮最寄りの宇治山田駅のリニューアル、志摩スペイン村のアトラクション新設などを並行して進め、誘客拡大に余念がない。
こうした中、しまかぜは「式年遷宮後も伊勢志摩に観光客を呼び込み続ける」(近鉄幹部)戦略の“特攻隊長”の位置づけだ。
しまかぜの由来は「志摩に吹く風の爽やかさ」。この風は近鉄が狙う伊勢志摩活性化の追い風になるのだろうか。(中村智隆)