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シャープ、脆弱な企業統治 片山会長に業務執行権の付与検討
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シャープの片山幹雄会長 経営再建中のシャープが、片山幹雄会長に対し、業務執行権の付与を検討していることが26日、分かった。片山会長は昨年4月に業績不振を受け、町田勝彦相談役とともに代表権と業務執行権を返上し、社長から会長(取締役)に退いた経緯がある。業務執行権の付与は取締役会の決定事項で、承認されれば取締役会長執行役員になる。社長を事実上引責辞任した会長の権限拡大に反発が出る可能性もあるが、同日、出資協議の継続を確認した鴻海(ホンハイ)精密工業との交渉にも引き続き関与するとみられる。
業務執行権の付与は昨春スタートした新体制で、片山会長が奥田隆司社長と並んで経営陣の先頭に立っている現状を踏まえた措置。実態に合わせた形で片山会長に権限を付与、より機動的な業務執行を可能にするのが狙いとみられる。
実際、鴻海などとの資本交渉は奥田社長とともに片山会長が担っているとされる。また、資本提携した韓国サムスン電子や米クアルコムには片山会長が自ら足を運び交渉をまとめあげた。
提携交渉など対外的な業務執行を円滑に進めるためには、本来なら代表権を付与するケースが多い。ただ事実上の引責辞任で代表権を返上した前社長に再び権利を付与することは反発が予想され、業務執行権にとどめる見通しだ。
シャープのこうした措置の背景には、同社の脆弱(ぜいじゃく)なガバナンス(企業統治)体制がある。昨年4月に奥田社長をトップとする新体制がスタートしたが、奥田社長の経営手腕が未知数である上、第一線を退いた複数の役員らが今も上意下達で間接的に経営に関与、経営陣が一枚岩になれていないのが現状だ。
鴻海との資本交渉も昨年3月の合意に至るまで、シャープ側は町田相談役(当時会長)が交渉していた。しかし新体制以降後、鴻海の郭台銘会長は「誰が本当のトップか分からない」と不満を漏らしている。
社長のほかに、提携交渉などの場に現れるのは代表権や業務執行権を持たない相談役や会長。片山会長は技術者出身でシャープの主力事業の液晶に最も明るく、社長以上の存在感を示すこともあるという。