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ソニーが世界で進むべき道 「技術の小型化」は成長の源泉
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実勢価格約25万円の高級コンパクトデジタルカメラ-。ソニーが昨年11月に発売した「サイバーショット DSC-RX1」は、最高レベルの画質と描写力を小ぶりなボディーで実現し、その価格とともに大きなインパクトを与えた。受注に供給が間に合わない状況で、今年1月まで品薄状態が続いた。
昨年6月発売の「DSC-RX100」(6万円前後)もアジアや欧米の主要市場でトップ10入りし、ソニーは高級コンパクトデジカメ市場で確固たる地位を築きつつある。
「技術を小型化する、それがソニーの伝統的な強み。これまでにない新しいカメラを提案する」。デジタルイメージング事業本部の野上善之・マーケティング部門長はこう解説する。ソニーのカメラ全体のブランド力向上にも貢献しているという。
スマートフォン(高機能携帯電話)の普及で、デジカメは市場縮小に直面する。ソニー自身、2012年度は四半期の決算発表のたびに出荷台数の下方修正を余儀なくされた。
ただ一方で、「スマートフォンに撮れない写真を撮ることができるカメラの需要は増える」(野上氏)。そこで、ソニーはサイバーショットやレンズ交換式デジタル一眼カメラ「α」シリーズで高付加価値モデルを充実させている。
そのソニーのデジカメを象徴するのが“電子の目”といわれる「CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージ(画像)センサー」だ。自然界の光の情報を電気信号に変えるのに不可欠なキーデバイスで、画像(映像)の解像度やきめ細かさはどんなセンサーを使うかで決まるといっても過言ではない。
事実、RX-1は従来のコンパクトデジカメの30倍以上の大きさである約2430万画素のCMOSセンサーを搭載する。
ソニーがCMOSセンサーの商品化に向けて大きく踏み出したのは、2004年。当時、イメージセンサー事業を統括していた鈴木智行・現執行役が経営資源の投入を決断した。「技術で他社に3年以上先行する」(鈴木氏)を目標に、技術開発に邁進(まいしん)してきた。
ソニーは現在、イメージセンサー(CCD含む)で市場シェア(11年・金額ベース)の約4割を占め、首位の座に立つ。カメラやスマートフォンなど、さまざまなソニー製品に搭載され、差別化につながっている。
同時に、全体の8割は外販し、米アップルや韓国サムスン電子などライバル企業でさえ、ソニーのCMOSセンサーを使用するケースが少なくない。完成品だけでなく、部品でも収益を上げられる態勢を築くことがソニーの成長の源泉になっている。
昨年6月にはCMOSセンサーの増産に向け、長崎テクノロジーセンターに約800億円の設備投資を行うと発表。今年前半に月産6万枚、中長期的には7万5000枚に引き上げる考えで、追加投資も視野に入れる。
「安かろう悪かろうという製品をソニーは手がけない」。韓国や中国メーカーが攻勢をかける家電や半導体などで日本メーカーが苦戦する中、RX1やCMOSセンサーが証明する技術力は今後のソニーの進むべき道を示しているかにみえる。=おわり
この連載は大柳聡庸、田村龍彦、米沢文が担当しました。