SankeiBiz for mobile

開業10周年迎える六本木ヒルズ 「磁力」の街、開発先駆け

ニュースカテゴリ:企業のサービス

開業10周年迎える六本木ヒルズ 「磁力」の街、開発先駆け

更新

六本木ヒルズの歩み  東京を代表するランドマークの一つ、複合商業施設の六本木ヒルズ(港区)が25日に開業10周年を迎える。

 リニューアルを繰り返して鮮度を保ち、人が集まる街づくりを進めてきた結果、来街者数は3月末までに4億人を突破。商業、オフィス、ホテル、住宅を集めた都心の複合施設を一体的に運営・管理する「タウンマネジメント」の手法は、後に続いた国内の複合施設のお手本ともなった。

 東京では街を生まれ変わらせる再開発が相次いでおり、ライバルとの間で集客を競うだけでなく、相乗効果で東京の魅力を高めるトップランナーとして、六本木ヒルズへの期待が高まりそうだ。

 来街者、年4000万人

 「六本木ヒルズで商品を買いたい、映画を見たいと思ってもらえる居心地の良さを提供したい」。10周年を機に順次進めている今春のリニューアルについて、六本木ヒルズを運営する森ビルの向後康弘タウンマネジメント事業部長はこう話す。

 新店舗とリニューアル店舗を合わせ、約40店が新たに誕生。このうち商業施設のウエストウォークには、英国の高級服飾ブランドのステラ・マッカートニーやアレキサンダー・マックイーンが入り、質の高い「大人の街」を改めて印象づける。海外からの観光客向けに、ホームページも英語以外に中国語、韓国語のバージョンを新設した。

 約12ヘクタールの区域を持つ六本木ヒルズを、森ビルは「全世界の人が『究極の目的地』(ultimate destination)とする街」と位置づけ、世界中の人を引きつける「『磁力』をもつ街」となるよう仕掛けを凝らしてきた。外資系企業を誘致する「アジアヘッドクオーター構想」でも先行。来街者数は開業時から毎年、年間4000万人を維持してきた。

 港区内で高層マンションの建設が相次いで人口が増え、ベビーカーを押して訪れる母親が増えたことから、ここ数年は「ファミリー路線」を強化。子供服や雑貨の店を加え、複数のスクリーンを持つシネマコンプレックスの「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」では、赤ちゃん連れでも映画を鑑賞できる「ママズクラブシアター」を設けた。

 森ビルは1986年に同じ港区でオフィスとホテル、商業施設を一体化した「アークヒルズ」を開業。そこで培ったコンパクトな複合都市開発のノウハウを生かし、「六本木を明るい街にした」といわれる。それ以前の六本木は小規模宅地が密集する一方、飲食店が点在する「夜の街」のイメージが強かった。

 街そのものを情報発信拠点ととらえ、イベントやコミュニティー活動を実施。都市政策に詳しい明治大学の市川宏雄教授は「企業などの広告やイベントを『文化都心』というコンセプトから行い、その収入で自立的、持続的に運営できることも示したパイオニア」と評価する。

 六本木ヒルズの後を追うように都内で相次いでオープンした大型複合施設は、ヒルズにならって「アジアヘッドクオーター構想」をいずれも軸足に置くものの、差別化に工夫を凝らす。

 国際都心に自信

 同じ六本木で三井不動産が運営する東京ミッドタウンは2007年3月に開業。同社の担当者は「ヒルズの『タウンマネジメント』を大いに参考にした」と明かす。

 緑を生かした街づくりを進めて大名屋敷だった名残を保ち、約10ヘクタールの敷地面積のうち緑地が約4ヘクタールを占める。オフィスフロアはビル1棟を丸ごと貸し出すなど独自の手法をとった。

 ミッドタウンはヒルズが10周年を迎える25日に同時にリニューアル。全135店のうち3分の1を入れ替える大がかりなもので、米カジュアル衣料のロンハーマンや福岡県久山町の自然食レストラン茅乃舎など、こだわりの新店舗が登場する。

 「『上質な日常』を提案するテナントを集めた」(運営会社の東京ミッドタウンマネジメント)と、海外高級ブランドを並べるヒルズとは一線を画す。

 東京・丸の内の再開発を手がけてきた三菱地所は、大手町の再開発で高級リゾート旅館「星のや」を誘致。来日する外国人に都市観光を楽しんでもらうだけでなく、災害時にも使える浴場として天然温泉を掘る予定だ。

 大企業が集まるJR東京駅周辺という立地の良さを生かしつつ、三菱地所は丸の内を「住める街」に変えていく方針を打ち出しており、短期・長期滞在用の高級家具付きマンションも別棟で計画している。

 森ビルは、近隣の虎ノ門地区やアークヒルズ周辺でも再開発を予定しており、「10年後にはわれわれの戦略エリアが真の国際都心になる」と、タウンマネジメント事業部の向後部長は今後の街の成長に自信を示す。

 みずほ証券の石澤卓志チーフ不動産アナリストは「森ビルは非上場だからこそ息の長い開発が可能となり、複合施設による再開発の手本を六本木で生み出した。周辺では再開発事業が進んでおり、街としての魅力はますます高まる」としている。(藤沢志穂子)

ランキング