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トヨタ、韓国市場で飛躍 カー・オブ・ザ・イヤー獲得 FTAで販売追い風

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トヨタ、韓国市場で飛躍 カー・オブ・ザ・イヤー獲得 FTAで販売追い風

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 トヨタ自動車が韓国市場で存在感を高めている。2012年に現地販売を始めた米国製のセダン「カムリ」が韓国の自動車記者協会が選ぶ今年の「韓国カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」を輸入車メーカーとして初めて獲得。ハイブリッド車(HV)の技術も注目を集めつつある。

 「販売よりも、品質や技術力をアピールするのが狙い」ともいわれてきたが、昨年発効した米韓自由貿易協定(FTA)で関税などの障壁が取り払われつつあることを追い風に、販売にも力を入れていく考え。トヨタブランドが浸透していない韓国での挑戦は第2ステージに突入した。

 韓国・京畿道の韓国国際展示場「KINTEX」で7日閉幕したソウル国際自動車ショー。トヨタブースでは、6月に発売するスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」や秋に発売予定のセダン「アバロン」をお披露目したほか、HVのコンセプト車も韓国で初公開し、連日人だかりとなった。

 家族で訪れた韓国人男性は「今は国産車だが、一度はトヨタ車に乗ってみたい」と熱視線を送る。

 韓国乗用車市場は、地元の現代自動車と傘下の起亜自動車が全体の7割と圧倒的なシェアを誇る。一方、12年に世界販売首位を奪還した「世界のトヨタ」も、市場規模が150万台程度の韓国では、12年の販売実績は1万6000台と全体の1%強にとどまり、独BMWやメルセデス・ベンツなどドイツ勢の後塵(こうじん)を拝している。

 トヨタ車の韓国での販売は09年に始まった。韓国トヨタの中林尚夫社長は「進出当時はリコールでブランドイメージが傷ついており、『トヨタってまだいたの』といわれた時期もあった」と明かす。

 信頼回復とブランドイメージの再構築を最重要課題に据え、宣伝広告や販促イベントを地道に重ねた結果が、販売拡大だけでなく、韓国COTYの獲得にもつながった。

 米韓FTAによる輸出促進効果も期待できる。現在、日本からの乗用車輸出関税は8%のままだが、米国からの輸入関税は8%から4%程度に引き下げられ、5年目にはゼロになる。

 トヨタは北米で生産するミニバン「シエナ」やカムリのほか、クロスオーバー車「ヴェンザ」など対象車種を広げ、韓国への輸出を増やしている。米国製カムリは、日本から輸入していたときより2割程度の値下げが可能となるなど価格競争力でも追い風となった。

 成否の鍵握るHV前面戦略

 足元では円安ウォン高が進み、日本からの輸出採算も改善しつつある。こうした動きを受け、韓国では輸入車のシェアが年々伸びている。2001年に1%に満たなかったシェアが、12年には初めて1割を超え、今年の1、2月は12.2%とさらに上昇した。

 韓国自動車工業協会幹部も、「13、14%程度まで比率が上がるのもそう遠くないだろう」と予測する。

 欧州勢が軽油を燃料に使うディーゼル車を積極展開させているのに対し、トヨタはHVを前面に出した販売を加速させる。昨年から「HVで真剣勝負」とうたったキャンペーンを始め、「昔は1割に満たなかったHV比率が12年には4割に達した」(中林社長)。

 09年にHVの一般販売を始めた現代自が「HVはまだニッチ(隙間市場)の車」(HV担当者)と位置づける中で、HVの先駆者であるトヨタが環境対応車の分野で主導権を握れるかどうかが、韓国市場での躍進の鍵を握る。

 トヨタは13年の韓国販売目標として前年比12.5%増の1万8000台を掲げる。控えめにも見える設定だが「今はまだ韓国市場で種をまいている段階。韓国でナンバーワンの輸入車になるより先に、その街でナンバーワンになることが大事」(中林社長)という。

 もっとも、トヨタは「韓国で現代自と真っ向勝負を挑む考えは毛頭ない」(トヨタ幹部)。

 中林社長も「(現代自グループが圧倒的シェアを誇るなど)これほど厳しい市場はなく、常にチャレンジャーの立場。ほかのメーカーがやっていないことに挑戦することで評価を高め、それを全世界にフィードバックしていくことに意味がある」と真の狙いを語る。

 現代自が日本撤退を決めたのはトヨタの韓国進出と同じ09年。現代自が日本への再参入を模索するなか、トヨタは、ライバルの“お膝元”で10年、20年先を見据えた「韓国プロジェクト」を着実に進めている。(古川有希)

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