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スカイマーク、新割引運賃で逆襲 「自分たちはLCCにはならない」
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国内線に昨年、相次ぎ就航した格安航空会社(LCC)が低運賃で攻勢をかけるなか、スカイマークが逆襲に出ている。昨年秋に設けた座席限定の割引運賃「フリー」を1月に改定。全路線で最低価格を1万円に設定して分かりやすさを打ち出したほか、一定期日までならキャンセル料が無料になるなど利便性も高め、「LCCキラー」としての威力を発揮しつつある。
フリーには、予約受付の期限に応じて14、10、7、3、1の5種類がある。例えば「フリー10」の場合、搭乗日の10日前までに予約すれば利用でき、搭乗日の前後10日以内なら無料で何度も便を変更できる。4月12日の便を予約していれば、4月2日~22日の便に変更できる。
一方、フリー7は搭乗7日前までならキャンセル料が無料。払い戻し料の500円は必要だが、LCCでは予約変更ができなかったり、高いキャンセル料が発生する。
サービスを徹底的に簡素化したLCCの運賃は「元祖・格安航空会社」であるスカイマークの価格よりはるかに安い。各社が競合する成田-新千歳線は、大手の片道普通運賃が3万3000円程度とすればスカイマークは1万5000円程度だが、LCCは5000円前後だ。
もっとも、空席の量に連動するLCCの運賃は出発日に近づけば近づくほど高くなり、場合によっては大手並みの水準になることもある。
西久保慎一社長は「LCCが安いといっても1週間前には1万円以上になる。当社は搭乗間際の安さに的を絞っている」と優位性を強調する。
LCCの登場で同社は苦戦が続く。全日本空輸系LCCのピーチ・アビエーションが主要拠点にしている関西空港発着路線はとくに厳しく、競合する関空-新千歳線では、搭乗率が一時30%台に落ち込んだ。このためスカイマークは関西路線を神戸空港に集約。3月31日で関空路線から撤退した。だが、同社は安さだけでは事業が長続きしないことを身をもって知っている。西久保社長はLCCについて「安いといっても大手がいての相対的な安さで、大手がいないと成り立たない。自分たちはLCCにはならない」と言い切る。関空撤退も「消耗戦を避ける」意味合いが強い。
大手でもLCCでもない「第三の道」を模索する同社は、撤退の一方、20日からLCCが就航していない仙台と福岡、新千歳を結ぶ路線に進出する。大手に対抗し、2014年2月から主力の羽田-福岡線にプラス1000円で利用できる上級クラスを導入することも検討中だ。
大手やLCCの弱点を見極めつつ、自らの強みを生かす戦略をとる同社は、新たに参入する国際線と同様に、国内線でも業界の台風の目となりそうだ。(井田通人)
羽田-新千歳、神戸、福岡、熊本、鹿児島、那覇
成田-旭川、新千歳、福岡、那覇
神戸-新千歳、茨城、長崎、鹿児島、那覇 中部-新千歳、那覇
新千歳-福岡、茨城 那覇-福岡、宮古(5月31日まで運休中)
仙台-新千歳、福岡(4月20日就航予定)