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ワタミ、ソーシャルビジネス支援 ノーベル平和賞ユヌス氏らと連携

ニュースカテゴリ:企業の経営

ワタミ、ソーシャルビジネス支援 ノーベル平和賞ユヌス氏らと連携

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ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズの投資1号案件となったカンボジアの「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」で作品を披露する女性=2013年3月、プノンペン(木村文撮影)  外食、介護事業などを展開する「ワタミ」は、バングラデシュ出身でノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏らと連携し、ソーシャルビジネスに投資する「一般社団法人ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ」(以下、ドリームパートナーズ)を3月に設立した。ユヌス氏が提唱するソーシャルビジネスの概念を実践する事業家を支援・育成していく。

 ドリームパートナーズは、ワタミの渡邉美樹会長、桑原豊社長、中川直洋執行役員、「さわかみ投信」の澤上篤人会長、「レオス・キャピタルワークス」の藤野英人最高投資責任者、「九州大学ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター」の岡野昌治教授が理事に就任。運営資金として、ワタミが1億円を出資し、基金とする。

 年間に3件投資

 ユヌス氏は、貧困削減を目的にマイクロファイナンス(小口融資)などを手がける「グラミン銀行」をバングラデシュに設立。2006年にノーベル平和賞を受賞した。

 ユヌス氏はソーシャルビジネスの7原則として、(1)経営目的は利潤の最大化ではなく、貧困、教育、健康などの分野で人と社会を脅かす問題を解決すること(2)財務的・経済的に持続可能であること(3)投資家は投資額のみを回収、元本を超える配当は行われない(4)投資分を超えた利益は内部留保し、会社の拡大や改善に利用(5)環境に配慮(6)従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供(7)楽しみながら取り組むこと-を挙げている。

 ドリームパートナーズは、この7原則にのっとった事業を展開するビジネスを選び、投資をする。

 理事の中川氏によると、ドリームパートナーズはすでにカンボジアでのデザイナー育成とオリジナル製品販売に取り組む「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」への出資を検討しているほか、毎年3件程度の投資をしていきたい、という。

 中川氏はドリームパートナーズ設立のねらいについて、「寄付ではなく、投資により、ソーシャルビジネスの成功例を創出し、社会問題を解決する手段としてのビジネスを定着させたい。また、ソーシャルビジネスに取り組もうとする若者を支援・育成したい」と話す。さらにこう付け加える。「ワタミ自身が、介護や環境など社会的な課題の解決を目指す事業を展開している。その経験からも、こうした社会問題解決型ビジネスは今後一層ニーズが広がり、市場が拡大していくと考えている」

 社会事業家を育成

 ソーシャルビジネスは、まず事業が軌道に乗ることが求められる。赤字の垂れ流しでは、持続的な社会貢献を実現できないからだ。中川氏も社会貢献と事業の両立を重要視している。

 「私たちの考えるソーシャルビジネスは利潤の最大化が目的ではないが、ビジネスとして成立し、持続的な投資を呼び込むことが求められる。したがって、社会のためになるだけでなく、消費者のニーズに十分対応し、出資者にとってもメリットが見えなければならない。『社会的に良いことをしているのだから』という経営者の甘えを排除し、社会事業家としてのマネジメント力を育てるのも、私たちの投資の目的だ」

 このため、ドリームパートナーズでは、理事会のほかに投資委員会を設け、金融や投資の熟練者が投資対象事業選定の審査に加わっている。

 投資第1号案件であるドリーム・ガールズ・プロジェクトは、アジアでデザインなどの才能がある女性の支援事業を展開する「ブルーミング・ライフ」で代表を務める温井和佳奈さんらが、11年に立ち上げた。経済成長を遂げるカンボジアだが、人材育成のスピードが追い付かず、特に女性たちが選べる職域は狭い。温井さんたちは、女性が身に付ける職業技能としてグラフィックデザインに目をつけ、女性を対象にしたデザインコンテストを開催している。コンテストは今年で3回を数え、参加者は延べ700人以上にのぼる。入賞作品は、手帳、ポーチ、壁時計などに商品化して販売しており、14年にはプノンペン市内にオリジナルグッズを販売するショップを開設する予定という。

 ワタミがドリームパートナーズを通じて育成を図るソーシャルビジネスがカンボジアをはじめアジアに広がっていくことに多くの人々から期待が寄せられている。(在カンボジア・ジャーナリスト 木村文)

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