SankeiBiz for mobile

「26歳天才」に復活賭ける米ヤフー SNS強化へ「タンブラー」買収の思惑

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

「26歳天才」に復活賭ける米ヤフー SNS強化へ「タンブラー」買収の思惑

更新

米ブログサイト、テッククランチがニューヨークで開いたイベントに出席した無料ブログサービス「タンブラー」の創業者兼CEO(最高経営責任者)、デビット・カープ氏。米ヤフーによる「タンブラー」買収で、若干26歳ながら、いま最も注目を浴びるIT起業家となった=2013年5月1日、米ニューヨーク(ゲッティ=共同)  米ネット検索大手ヤフーが、急成長を遂げる米無料ミニブログサービス「タンブラー」を現金11億ドル(約1120億円)で買収することが分かった。昨年7月のマリッサ・メイヤー氏(37)のCEO(最高経営責任者)就任以来、最大の買収案件となる。交流サイト(SNS)の機能も併せ持つ新種のブログサービスとあって、メイヤー氏は今回の買収でSNSとモバイルインターネットの分野を強化し、ヤフーの栄光を取り戻そうと意気込んでいるという。

 就任以来最大1120億円

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のIT系ニュースサイトが5月17日にスクープし、19日にWSJやロイター通信などが詳細を伝えた。20日(米国時間)にも正式発表される見通しだ。

 日本ではなじみのない「タンブラー」だが、米国では写真や動画を簡単に投稿でき、コンテンツの共有もできるサービスとして大変な人気を誇っている。

 本社はニューヨークのマンハッタンにあり、従業員は175人。2007年3月にサービスを始めたが、他人の投稿をそのまま再投稿できる「リブログ」という斬新な機能がウリで、簡易ブログ、ツイッターのように他のユーザーをフォローすれば自分の画面に彼らの投稿が流れるというSNSの機能を併せ持つことから人気に火が付いた。

 4月時点の登録ブログ数は1億780万件。総投稿数は506億件(12言語)。ユーザーの多くがネット企業が最重視する18~24歳の若者層であることも見逃せない。

 金に執着ない起業家

 創業者兼CEOのデビッド・カープ氏(26)も大きな注目を集めている。

 英紙ガーディアン(電子版)などによると、父は映画音楽作曲家で母は教師。マンハッタンで裕福に育ち、11歳で地元企業のホームページを製作するなど天才ぶりを発揮。理系の高校を1年で中退しホームスクーリングでIT技術を学ぶが、17歳の時、自分探しの旅と称して5カ月間、東京で暮らした。その後、起業家を目指し今日に至っている。

 金への執着心がなく、暮らしは質素で、最近のIT系経営者は金のことばかり考えていると批判。ガーディアン紙でも、動画投稿サイト、ユーチューブが「(金もうけ優先で)創造性ある投稿より広告(のスペース)を重視している」と怒った。実際「タンブラー」は昨春まで広告を掲示しなかった。昨年の売上高は1300万ドル(約13億円)で今年は1億ドル(約100億円)と急成長を見込む。

 大株主、運営責任者に

 マイヤー氏はグーグル在籍時から、そんな「タンブラー」の将来性とカープCEOの経営者としての才能に着目。買収後も彼が「タンブラー」の大株主で運営責任者も務めるという。

 フランス通信(AFP)は「タンブラー」がヤフーに新たな広告や収入をもたらす潜在能力を秘めていると報じ、「SNSのサービスはヤフーに欠けているもので、それが新たなユーザーを呼び込む」との米IT系コンサル会社の関係者のコメントを紹介した。

 (SANKEI EXPRESS

ランキング