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シャープ株主総会に飛び交う“恨み節” 「IGZO勝てるの?」「製品使いづらい」

ニュースカテゴリ:企業の電機

シャープ株主総会に飛び交う“恨み節” 「IGZO勝てるの?」「製品使いづらい」

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シャープ株主総会の会場前で取材を受ける株主=25日午前、大阪市北区(安元雄太撮影)  25日、大阪市内で開催された経営再建中のシャープの株主総会では、株主から経営体制や事業に踏み込んだ質問が相次ぎ、アナリストさながらに素人離れした質問を連発する出席者が目立った。高値で株式を購入した株主にとっては、現在のシャープ株価の低迷は含み損を抱える苦境。企業と“一蓮托生(いちれんたくしょう)”の必死さがうかがえる総会となった。

 「工場は暇と聞くが…」

 「(中小型液晶大手の)ジャパンディスプレイの工場はフル稼働らしいが、なぜシャープにはできないのか。暇と聞く」

 「新技術のIGZOは有機EL(エレクトロルミネッセンス)に勝てるのか?」

 総会の中盤、赤字にもかかわらず、今後も主軸に据える液晶パネル事業の命運について、男性株主から質問が飛んだ。

 ディスプレー事業を担当する方志教和専務は「(米アップルからの受注減という)変動による影響を受けてきたのは確か。複数の顧客を持つことで安定を図っていきます」と釈明。今後の見通しについて「大型液晶は今年度、来年度はフル稼働。中小型は今年1~3月は落ち込みましたが、今後は高い稼働率を想定しています」と述べた。

 工場の稼働状況は企業秘密で公にされることはあまりなく、「フル稼働」は株主が引き出した答えといえる。ただ、1000億円の出資を受け、アップルの専用工場となった亀山第1工場(三重県亀山市)は、iPhone(アイフォーン)5の生産減を受け、今年上半期は稼働率が低迷。

 韓国サムスン電子の32型テレビが受注の3割を占める第2工場は、6月現在で「稼働率は7割まで回復した」(シャープ幹部)というが、海外企業に依存した不安定な状況が続く。

 シャープは、決算短信に「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している」との注記を余儀なくされるほど厳しい経営を強いられている。この点についての質問をした株主は、シャープが企業として継続できる可能性を主力取引銀行から派遣された2人の取締役候補である藤本聡氏と橋本仁宏氏を名指しで回答者に選んだ。

 2氏が「まだ選任されていない」などと明言を避けると、「だったら経理本部長に聞きたい」と食い下がり、大西徹夫専務から「監査人は(シャープが)手を打っていると判断している」との回答を引き出した。

 商品開発にも踏み込んだ質問が起こる。総会の終盤、男性株主は甲高い声でこう追及した。「なぜ、消費者がシャープの洗濯機を使わないか分かりますか? タッチパネルが使いにくいんですよ。テレビのリモコン操作を比べたことありますか。シャープ製品は、とくに年寄りにはものすごく使いづらい。消費者の目線に立ってるんですか?」

 これに対し、水嶋繁光副社長は「シャープの伝統だったお客さま視点が、ここ数年、失われていることについては猛省をしています」と述べ、「貴重なご意見ありがとうございました」と頭を下げた。株主と経営陣の問題意識が一致した例といえそうだ。すでに東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの事業では、改良が進んでいるという。

 株価は全盛期の5分の1に

 25日のシャープ株価の終値は前日比1円安の400円とほぼ横ばい。株主総会での経営陣の答弁にニュース性はなく、ほとんど材料視されなかったようだ。

 わずか6年ほど前、「家電の勝ち組」と呼ばれ、2000円を超えていた全盛時に比べると株価は5分の1の値打ちしかなくなった。

 超低金利時代が続く中、財テクの一環としてシャープ株に手を出した株主も多い。とくに、老後の資金を増やそうと、高値で購入した高齢の株主は現在、大きな「含み損」を抱えている。生活が懸かっている分、総会の質問も必死で、半ば恨み節のようにも聞こえた。

 経営陣にとっても昨年に続く大幅な赤字で崖っぷちだ。株主から突きつけられた危機感を共有し、今年こそ業績の回復に結びつけなければならない。

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