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鉄道各社、省エネ車両相次ぎ投入 電力値上げに対応
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東武鉄道が6月から導入したアルミ合金で車体を軽量化した新型車両 鉄道各社が省エネ性能を高めた新型車両を相次ぎ導入している。軽量化に加えモーターなどに最先端技術を取り入れたり、車内照明に発光ダイオード(LED)を採用するなど、あらゆる手法で使用電力の削減に努めている。電力各社の相次ぐ電気料金値上げが、使用量の多い鉄道会社の経営を圧迫しており、省エネ車両を節電に役立て、収益力向上につなげる。
JR東日本は、2015年に宮城県で仙石(せんせき)線と東北本線の接続線が開通するのに合わせ、ディーゼルエンジンと蓄電池を組み合わせたディーゼルハイブリッド車両「HB-E210系」を8編成導入する。
路線状況に応じて動力源を使い分けるほか、ブレーキ時に発生したエネルギーを蓄電池にためて再利用する「回生ブレーキ」で燃料消費量をディーゼル車より1割減らす。車内照明も全てLED化し、使用電力は蛍光灯より6割減らす。
通勤形にも、既存の「205系」より電力使用量が3割少ない「E233系」を、14年度から川崎市などを走る南武線に投入する。
同社は20年度に鉄道事業のエネルギー使用量を10年度比で8%減らす方針。駅の省エネ化も進めており、冨田哲郎社長は「(電力)値上げなども踏まえ、新しい時代にマッチさせていく」と環境重視にアクセルを踏む。
私鉄では、東京メトロが銀座線で、モーターのエネルギー高効率化で1割削減した「1000系」を6月から本格導入。今年度中に同路線の38編成中、11編成を新車両に置き換える。
東武鉄道も、素材にアルミニウム合金を採用し車体を軽量化した「60000系」を、6月から埼玉県と千葉県を結ぶ野田線に投入。従来の「8000系」に比べ、電力使用量は4割減る。
関西でも、阪急電鉄が今秋7年ぶりに投入する新車両は、消費電力を既存の半分に抑えるなど、省エネ化が加速している。
川崎市など自前の火力発電所で約6割の電力をまかなうJR東日本を除き、鉄道各社は大型の自家発電設備を持たない。
電気料金の値上げで各社とも軒並みコスト増にあえぎ、11年度に128億円だった東京メトロの電力コストは今年度は178億円に増える見通し。東武鉄道グループも今年度は20億円のコスト増を見込む。
電気料金引き下げの環境整備が進まない中で、節電車両対応は加速しそうだ。(井田通人)
会社名 形式 投入路線 特徴
JR東日本 HB-E210系 仙石線・東北本線 ディーゼルハイブリッド式、回生ブレーキ採用
東京メトロ 1000系 銀座線 モーター効率の向上
東武鉄道 60000系 野田線 アルミ合金の車体で軽量化
阪急電鉄 1300系など 京都線など モーター回転を効率制御するインバータ装置を刷新
京阪電気鉄道 13000系 宇治線など 回生ブレーキやインバーター装置の性能向上