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なぜ?競合増えても余裕のJAF 損保各社はロードサービスのライバルにあらず

ニュースカテゴリ:企業のサービス

なぜ?競合増えても余裕のJAF 損保各社はロードサービスのライバルにあらず

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JAF会員数の推移  マイカーでトラブルが起きたとき、電話一本で駆けつけてくれるロードサービス(故障救援)。会員制組織としてサービスを提供している日本自動車連盟(JAF)に対し、自動車保険を販売する損害保険各社がロードサービスの拡充に乗り出している。さぞかしJAFは会員を奪われるなど、打撃が大きかろうと思っていたが、そんな競争激化の中でもJAFの会員数は着実に増えているという。その背景は?

 1700万人の会員数誇るJAF

 JAFによるとロードサービスが利用される際の理由で多いのは、1位=バッテリー上がり(充電不足)によるエンジンの停止▽2位=タイヤのパンク▽3位=鍵の閉じ込め(鍵を車内に置いたままロック)-の順で続く。

 利用者は最高2000円の入会金と4000円の年会費さえ払えば、うっかりミスによるトラブルでも無料で対応してくれるので安心だ。

 JAFは昭和38年に設立された。マイカーの普及に合わせ、全国一律のサービスを提供しようと自動車ユーザー団体として設立された。現在は、一般社団法人として53支部200拠点を抱え、全国にネットワークを持つ。

 発足以来、会員数も順調に伸びており、平成5年には1000万人を突破。24年度は1758万人と前年度比25万人余り増えた。

 損保各社の参入

 JAFの独壇場だったロードサービスだが、近年、“ライバル”が登場し始めた。自動車保険を販売する損保会社だ。少子高齢化や人口減少による損保市場の縮小をはね返そうと、多角化の一環としてロードサービスに乗り出している。

 15年前からロードサービスを始めたスイス・チューリッヒ保険の日本支店(東京)。自動車保険を契約すると、JAFを上回る充実したロードサービスが自動的に受けられるため、人気となっている。

 たとえば、事故や故障で走行不能になった自動車を無料でレッカーしてもらえる距離は、JAFなら15キロだが、チューリッヒは100キロ。さらに、事故・故障現場から自己負担でレンタカーを借りなければならないJAFに対し、チューリッヒはトラブル発生から24時間以内であれば、無料だ。

 一方、保険契約者の中にJAF会員がいることを想定し、サービスのすみ分けを心がけているのが、三井住友海上火災保険。

 通常の保険契約者の無料レッカー距離は15キロだが、JAF会員が、同社のロードサービス特約付きの自動車保険を契約すれば、30キロ(JAF分15キロ+同社分15キロ)に延長している。

 従来は大半の自動車保険契約者にロードサービスをつけていたが、保険料の上昇につながってしまうため、オプションの「特約」に変更したという。

 同社は「JAFと当社のサービスをすみ分けた」と説明する。

 強気のJAF

 ロードサービスを充実させる損保各社に対し、JAFも少しずつサービスを拡大してきた。

 レッカーの無料距離は従来の5キロから平成20年には3倍の15キロに延長。

 JAFは今後も「会員の声を受け、サービス内容の変更も検討する」(広報)意向だ。

 会員からはマイカーが走行不能になった場合のレンタカー費用の補償を求める声もあるが、レッカーなどJAFが直接手がける作業以外は、「サービス対象の範囲外」という考えだ。

 それでも、JAFの会員が今も増加しているのは、年会費の安さにある。

 損保各社のロードサービスは、あくまで自動車保険に上乗せされる付加サービスのため、すべての保険契約者にロードサービスを受けてもらおうとすれば、保険料は全体的に割高になってしまう。

 ロードサービスを「特約」にしている損保会社もあるが、サービス内容を充実させるほど、特約料金がJAFの年会費を上回ってしまうことも。その結果、自動車保険を必要最低限にとどめ、JAFを選択する人もいるとみられる。

 JAFには全国の宿泊施設や飲食店の割引優待があるのも魅力で、「損保各社のロードサービスはライバルではない」(JAF)と自信満々だ。

 ただ、損保各社のロードサービスは、トラブル時の宿泊費や帰宅に掛かる交通費も補償するなど、周辺費用のサポートまで手がけるようになっている。

 現在は、「共存共栄の関係」を保っているJAFと損保業界だが、市場の縮小が進み、損保各社がさらにロードサービスを充実させれば、JAFの存在を脅かすようになるかもしれない。(中山玲子)

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