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コンビニ値下げ加速、スーパーに接近 店舗数5万突破で競争激化

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コンビニ値下げ加速、スーパーに接近 店舗数5万突破で競争激化

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 コンビニエンスストアとスーパーとの間で、メーカー製食品や日用雑貨の価格差が縮まってきた。値下げの先陣を切ったのは最大手セブン-イレブン・ジャパンで、ローソンなど各社も追随。サークルKサンクスは来春までに、約200品目の価格を5~20%安くする計画だ。東日本大震災後にコンビニでも日用品を買う動きが定着したことや、国内コンビニ店舗数が5万を突破し、競争が激化していることが背景にある。

 「スーパーより割高な印象だったけれど…」。東京・多摩ニュータウンに暮らす女性(80)は最近、セブン-イレブン多摩豊ヶ丘4丁目店をよく使うようになった。約40年前の入居開始に合わせ進出した近所のスーパーは3年前に撤退。以来、バスで15分かけ多摩センター駅前のスーパーへ通うが、傾斜の多い団地だけにバス停への往復も負担が大きいからだ。

 セブンは2005年に一部ペットボトル飲料の価格を147円から125円に下げたのを皮切りに、食品など約200品目で「社会の実勢価格に近付ける努力」(同社)を続けてきた。

 コンビニの国内店舗数は昨年11月に5万を超え、14年3月期には大手3社だけで過去最多約4000の新規出店を計画する。「飽和状態」もささやかれる中、24時間営業の利便性にあぐらをかいてはいられない。

 ローソンやファミリーマート、ミニストップは価格改定を昨春に本格開始。サークルKサンクスも今年5月、ユニーグループの仕入れ規模を生かして大規模な値下げに踏み切り、大手5社の歩調が一致した。

 2年前の震災直後には流通各社の物流網が寸断され、消費者は普段使いのスーパーだけに頼れない状況へと追い込まれた。利用頻度の低かった人もいや応なしにコンビニへ駆け込んだ結果、集客を目指す各社と安値を求める主婦らの思惑がかみ合い、値下げを加速させた。

 経済産業省の商業統計によると、従業員4人以下の小売業者数は1970年を100とした場合、2007年には59まで減少。国の農林水産政策研究所が昨年発表した調査では、自宅から生鮮食品店まで500メートル以上離れ、車を所有していない高齢者は3大都市圏だけで140万人に上る。

 こうした社会構造の変化や高齢者、就労女性の増加もあって「コンビニに対し『身近な小型店』としてのニーズは高まっている」(井阪隆一セブン-イレブン・ジャパン社長)。

 アベノミクスによる景気回復ムードが広がる一方、サラリーマンの月給に当たる所定内賃金は今年6月まで13カ月連続で前年同期割れが続く。

 「ハレの日のぜいたくと日常の倹約志向とに二極化した消費動向」(小方尚子・日本総合研究所主任研究員)は、しばらく変わりそうもない。来春には消費増税も予定され、コンビニやスーパーにディスカウントストアなども交えた価格競争は、今後さらに拍車がかかりそうだ。

 コンビニ大手5社とスーパーの価格比較

           敷島製パン「超熟」 サントリー「天然水」

           (6枚)      (2リットル)

 セブン-イレブン  158円      98円

 ローソン      208円      98円

 (今月20日から全店168円に)

 ファミリーマート  168円      98円

 サークルKサンクス 158円      98円

 ミニストップ    158円      98円

 ダイエー      158円      98円

 ライフ       168円      98円

 ※ダイエーは碑文谷店(東京都目黒区)、ライフは大崎ニューシティ店(同品川区)の今月9日の店頭価格

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