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都心に集まるアンテナショップ 地方自治体、費用対効果見極め課題

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都心に集まるアンテナショップ 地方自治体、費用対効果見極め課題

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沖縄県の「銀座わしたショップ」(手前)と高知県の「まるごと高知」など地方自治体のアンテナショップが集まる東京都中央区の銀座1丁目  特産品販売や情報発信を目的とした地方自治体のアンテナショップが銀座、南青山といった東京都心部に続々と集まっている。石川、長野、岡山、佐賀の4県が移転も含めて検討中のほか、三重県は9月、東京・日本橋に新設。東日本大震災後、被災地の自治体を中心に10店で売上高が増えるなど、復興支援や風評被害対策の「窓口」ともなるアンテナショップの役割の大きさに自治体は熱い視線を注いでいる。

 石川県のアンテナショップは現在、東京・日比谷にあるが、大通りから奥に入った場所のため、休日・祝日の集客が見込みづらい。生鮮食品を扱えない制限もあり、2015年春の北陸新幹線開業前を目標に移転計画を進めている。

 移転先候補として目をつけているのは、各県のアンテナショップが軒を連ね、「アンテナショップ通り」の様相を呈する有楽町から銀座1丁目の周辺だ。

 JR有楽町駅前の交通会館には北海道や富山県のアンテナショップが入居するほか、東京メトロ銀座一丁目駅周辺にも沖縄、高知、茨城、広島、山形の各県が集中。特産品販売と併設された飲食店も人気を集める。

 集客の見込めるエリアで物販と飲食店を併設できる物件を探す石川県だが、「新幹線開通前という期限がある。候補地を広げることも考えている」(商工労働部経営支援グループの四木匡彰リーダー)という。

 新規参入も含め、有楽町から銀座1丁目への進出をもくろむ自治体は多いが、手ごろな物件は少なく、「争奪戦」となっているのが実態だ。

 委託事業者選定と並行して物件を探す岡山県の場合、石川県と異なり期限があるわけではないため「1、2年遅れても立地を優先したい」(産業労働部)という。実施計画を策定中の長野県は来年3月末に詳細を決める見通しで、「総合活動拠点としてのコンセプトを重視する」(信州ブランド推進室)方針。ただ、水面下ではすでに物件探しに動いているもようだ。

 28日には三重県が日本橋に「三重テラス」を、10月には佐賀県が南青山に知名度向上を狙った情報発信拠点を開設するなど増加傾向は続く。財団法人「地域活性化センター」によると、都道府県や市町村が都内に開設するアンテナショップは2012年10月時点で54店と過去最高となった。

 もっとも、アンテナショップ経営は簡単ではない。全国のアンテナショップ紹介サイトを運営する濱田登さんは「物販だけで黒字経営なのはほんの一握りだ。費用対効果をどう見極めるかが課題」としている。

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