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落語家弟子入り、巫女体験… 通販ギフト各社「体験型商品」拡充のナゼ
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通販ギフト各社が「体験型商品」のラインアップを拡充している。儀礼的な色彩が強かった中元・歳暮が、有人や知人にプレゼントを贈る「ギフト」と位置づけられる傾向が強まっていることに加え、「ご褒美」として自分で利用するケースが増えていることが背景にある。16日には贈答品需要が膨らむ「敬老の日」も控え、各社はユニークで質の高い商品を競い、顧客の掘り起こしを狙っている。
大手のフェリシモは、落語家の古今亭志ん輔さんに3日間「弟子入り」する体験型ギフト(10月12~14日開催、4万5000円)を売り出した。東京・浅草の貸席で寄席囃子(はやし)などの指導を受ける内容で、落語ファンにはたまらないプランだ。
4月に大阪で上方落語の林家染丸さんを講師に初めて催したところ、10~60代と幅広い層の男女が参加する盛況ぶりだったことから、第2弾として企画した。京都での「巫女(みこ)体験」や鉄道ファンを狙った「小型ジオラマ制作体験」も予定している。
衣料品通販を主力とするフェリシモは事業の拡大に乗りだしており、当面は「体験型ギフトの存在を多くの人に知ってもらう」(広報)ことが目標だ。
体験型を専門とするソウ・エクスペリエンス(東京都品川区)では、人気カフェやワインバー、プレミアムハンバーガー店で食事できるギフトカードが売れ行きを伸ばしている。2005年に創業した同社はパラグライダーや茶道のプランを打ち出し、行動的な20~30代の層を顧客として取り込んできた。
また、11年に発売した食事のカードは約3000円からと手頃なこともあり、「手軽な贈り物として(シニアも含めて)幅広く人気を集めている」(同社)。販路もインターネット経由だけでなく、コンビニエンスストアや雑貨店に広がりつつある。
矢野経済研究所の12年末の調査によると、11年度のギフト需要は前年度比2.1%増の17兆400億円と、デフレ傾向の中でも伸長した。それだけに景気回復ムードを追い風に、一層の拡大が今後見込まれている。(山沢義徳)