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大学生は知恵袋 百貨店、客層若返りと独創性狙い連携加速

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大学生は知恵袋 百貨店、客層若返りと独創性狙い連携加速

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百貨店と大学の主な連携企画  百貨店と大学の産学連携が加速している。食品や靴などの商品開発だけでなく、催事などの単発イベントでもタッグを組む企画がめじろ押しだ。来店客の若返りを図りたい百貨店側からのアプローチだけでなく、就職活動でのプラス効果を見込む学生側の参加意欲も高まっており、「相思相愛」の環境が連携を多彩にしている。

 未来の主要顧客

 「女子DON(丼)、よろしくお願いしま~す」。9月中旬、東武百貨店池袋店(東京都豊島区)地下1階の食品売り場に女子学生35人の声が響いた。

 「女子丼」は、池袋店に出店する総菜店11店と共同開発したどんぶり弁当で、バジルを使った海鮮丼やトマトを入れたすき焼き丼など計17品目。開発に関わった学生約80人は全員、大学で栄養学を学んでおり、カロリーは500キロ以下。彩りや盛りつけにも工夫が凝らされた。

 来店客からも「見た目もかわいい。こんな商品が増えれば娘と一緒に買い物しやすい」(52歳の女性)と好評で、初日分は販売開始から約1時間で完売。1週間で約1800個を販売するヒット商品となっている。

 文部科学省の調査では、民間企業と大学の共同研究の実施件数は2006年度の1万2489件から、11年度は1万6302件まで増加。共同研究は学問分野だけでなく、メーカーなどとの商品開発にも広がっており、百貨店では自主開発商品などに学生のアイデアを生かすケースが増えている。

 百貨店が学生とのコラボを活発化させる目的は、新規客層の開拓だ。全国百貨店の年間売上高(全店ベース)は、ほぼ右肩下がりで、09年には7兆円を割り込んだ。主要客層の60~70代の消費支出額が減っているためで、生き残りには支出が多い若年層の取り込みが不可欠。大学生とのタッグは、若い感性を商品開発に生かせるだけでなく、未来の主要顧客との関わりを深められる二重の利点がある。

 企画を立ち上げる際の学生側の役回りも重要性を増す。京王百貨店が明治大生と開発した就職活動用の女性向けパンプス「ハーモニーデュエット」(1万500円)は、学生自身が友人などを対象にアンケートを実施したり、商品を試着するモニターを集めるなど、学生が本格的なマーケティングを主導した。

 インターンの一環に

 学生の参加ニーズも高まる。背景にあるのは、最近の就職活動をめぐる学生側の不安だ。経団連は、会社説明会など採用活動の解禁時期を大学3年の12月から3月に繰り下げる指針を打ち出したが、経団連は11年には解禁時期を12月としていた経緯もあり、揺れ動くルールの実効性を学生側は疑問視している。

 こうした状況の下、インターンシップ(就業体験)が事実上の採用活動の場になっているとの指摘も根強く、学生側もインターン活動への傾倒を強める。

 「将来は商品開発の分野に進みたいので、貴重なチャンスを生かしたい」。東武百の「女子丼」に参加していた私立女子大の3年生(21)も、企画参加をインターンの一環に位置づける。「面接のアピールポイントとしても魅力的」といい、企画の中には限られた参加枠に学生の応募が殺到するケースもある。

 大学の研究成果から生まれた食品を集めた高島屋の催事「大学は美味(おい)しい!!」を企画するNPO法人「プロジェクト88」の高橋菜里理事長は「営業や接客まで幅広い経験を積める点も就活にプラスと感じているようで、参加を目的にサークルを作る学生もいる」と指摘している。(佐久間修志)

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