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なぜ?競合ハルカスに塩を送る理由 「せめてものお祝いの気持ち」
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13日のあべのハルカス近鉄本店(大阪市阿倍野区)の開業に先立ち、隣接する商業施設「あべのマーケットパークキューズモール」の担当者は12日、最後の確認を行った。13日の早朝から「祝あべのハルカス近鉄本店オープン」と書かれたアドバルーンや垂れ幕を掲げるためだ。
競合する近接店が、ライバルの開業を“自腹”で祝うのは異例だ。だが、キューズモールを運営する東急不動産の担当者はこともなげにこういった。
「阿倍野の活性化に向け、ともに取り組んできた。せめてものお祝いの気持ちです」
「町の人、地元の企業、観光、買い物客と一緒に、両社でエリアを盛り上げていきたい」
平成21年11月に行われた阿倍野再開発共同キャンペーンの記者会見。近畿日本鉄道でターミナル開発事業にあたる鉄谷守男氏は、隣に座る東急不動産の吉浦勝博氏と視線を交わしながら、こう強調した。
同年末から両社は自治体などと連携し、「ウェルカミングアベノ・天王寺キャンペーン」をスタート。地道な地域活性化のイベントや、両店舗共同の販促活動など、“二人三脚”で活性化に努めた。
大阪・梅田で増床した百貨店が、それぞれ独自の集客戦略をとったのとは対照的に、近鉄百貨店は計画段階から地域や事業者が連携してまちづくりを進めた。百貨店や商業施設が集中する梅田に対抗するには、阿倍野の集客力の底上げが不可欠だった。
近鉄百の飯田圭児社長はあべのハルカス近鉄本店の店舗戦略について「フルライン、フルターゲット」と、再三アピールした。若者向けだけでなく、全ての消費者を対象に、あらゆる商品をそろえる戦略は、地域に根ざした取り組みの象徴だ。
阿倍野・天王寺は梅田、難波に比べ、住宅街に近接している。大規模再開発が目的とする地域の活性化は、若者や女性などの来街者を増やすだけでなく、近隣住民の需要に応じたきめ細かいサービスが欠かせない。
近鉄グループの住宅リフォーム店という、従来の百貨店にない店舗が出店したのもその表れだ。
国内最大となる10万平方メートルの売り場面積は、フルターゲットの実現に必要な規模でもある。飯田社長が「ローカルとグローバルの両面を併せ持った店作り」と説明した、地域に根ざした百貨店が誕生した。(阿部佐知子)