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NTT、点検効率化の新技術開発 シート上から電柱ひび割れ検知
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東日本大震災で倒壊した電柱。通信途絶を防ぐには効率的で正確な点検が欠かせない=宮城県気仙沼市 NTTは、光ケーブルの配線などに欠かせない電柱の点検を効率化するため、電柱に巻いた張り紙防止シートの上からミリ波センサーでひび割れなどの劣化を検知する技術を開発、年内にも実用化する。電柱を樹脂製のカナヅチで打ち、健全度を診断する振動解析システムも開発した。これらの技術を活用し、全国1200万本の電柱の点検コストを20~30%削減したい考え。
電柱には無断張り紙を防止するためにツブツブのついたシートを接着剤で巻き付けているが、従来はシートをはがして再度はり付けていた。NTTのアクセスサービスシステム研究所が開発したミリ波センサーは、電柱の円周に沿ってシートの上部から下部に動かせば、コンクリート内部の微小な亀裂などの異常を検知できる。
一方、振動解析システムは、小型センサーを電柱に巻き付け、樹脂製カナヅチでたたくことにより、内部の震動の周波数を画像で表示。正常時と比べ、ひび割れなどを見つけ出す。
電柱の定期点検はほぼ5年に1度。従来は作業員が双眼鏡による目視でひび割れなどの劣化を見つけていた。
今回開発した検知技術と組み合わせることで、膨大な労力を要していた電柱点検作業の大幅な効率化が実現。アクセスサービス研究所の金子英研究員は「最大30%のコスト削減を目指したい」と導入効果に期待している。