SankeiBiz for mobile

「日の丸家電」に復活の兆し ソニーはスマホ、パナソニックは大胆リストラ

ニュースカテゴリ:企業の電機

「日の丸家電」に復活の兆し ソニーはスマホ、パナソニックは大胆リストラ

更新

電機大手の2013年9月中間連結決算  「日の丸家電」に薄日が差しつつある。電機大手8社の2013年9月中間連結決算が31日出そろい、本業のもうけを示す営業利益はパナソニックなど5社が増益となり、経営再建中のシャープも黒字に転換した。デジタル家電の不振が続いていたパナソニックとソニー、シャープの3社も、自動車やスマートフォン(高機能携帯電話)関連などの成長分野が好調だった。

 改革生みの苦しみ

 パナソニックが同日発表した13年9月中間連結決算では、自動車部品や住宅設備が牽引(けんいん)し、営業利益は前年同期比67.8%増。最終損益も6851億円の赤字から過去最高の1693億円の黒字に急回復した。

 ソニーはスマホが伸び、円安も収益を押し上げた。シャープはスマホ向け液晶が好調で、前年同期の1688億円の営業赤字から338億円の黒字になった。

 業績が上向きつつある各社だが、完全復活へ向けた構造改革の生みの苦しみにも直面する。

 デジタル家電の全方位戦略を続けるソニーはデジタルカメラなど新たな不振事業のてこ入れが課題だ。不採算部門に大なたをふるったパナソニックは、成長分野の育成に迫られる。また、経営再建中のシャープは、財務体質の改善など重い課題を背負ったままだ。

 「パソコン事業は事業構造の抜本的な改革に向けた取り組みが急務だ」。ソニーの加藤優最高財務責任者(CFO)はこの日の会見でこう述べ、パソコン事業の改革計画策定を表明。生産拠点の統廃合や人員削減を含めた検討に着手した。

 同社は、パソコンの年間販売計画について、8月時点の620万台から580万台(前期実績は760万台)に下方修正。4~6月期に黒字化を達成したテレビも7~9月期に赤字に転落。通期の販売台数の見通しは1500万台から1400万台に引き下げた。

 ソニーの目算を狂わせたのは、新興国などでの販売不振だ。14年3月期の連結業績予想も下方修正し、最終利益を500億円から300億円に引き下げた。

 しかし、将来を担うスターも見いだした。「ソニーの技術力を結集した」(加藤氏)スマートフォン(高機能携帯電話)だ。国内外でシェアを上げており、収益改善も着実に進む。加藤氏は「守りと攻めを組み合わせながら臨んでいきたい」と来期以降の浮上に意欲を示す。

 リストラ策強化示唆

 これに対し、パナソニックやシャープの構造改革は依然、「利益重視の守りの改革」(業界関係者)が主だ。

 パナソニックは通期最終利益を1000億円(従来予想は500億円)に大幅に引き上げたが、利益拡大の原動力は大胆なリストラ。この日も薄型テレビの主力部品だったプラズマディスプレーパネル(PDP)の生産を終了すると正式に発表。液晶との競争に敗れ、「負の遺産」の象徴だったPDPと決別する。

 同社は、トルコで配線器具などを手がけるヴィコを約460億円で買収すると発表するなど攻めの一端も示したが、構造改革の俎上(そじょう)にあがる半導体事業について津賀一宏社長はこの日の会見で、「ありとあらゆる可能性を探っている」とリストラ策強化を示唆した。

 シャープの高橋興三社長はこの日の会見で、マキタ、LIXILグループ、デンソーを引受先とする第三者割当増資と、10月末までに確定した公募増資により、「自己資本比率が12%程度に改善する」との見通しを表明し、さらなる財務改善に意欲を示した。

ランキング