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シャープ、黒字確保も楽観できぬワケ 「ほっと一息とはまったくならない」

ニュースカテゴリ:企業の電機

シャープ、黒字確保も楽観できぬワケ 「ほっと一息とはまったくならない」

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高精細化を実現した、シャープのフルHD液晶テレビ「アクオスクアトロンプロ」  経営再建中のシャープは平成25年4~9月期結決算で、営業利益が当初予想の2倍以上の338億円となった。上期としては2年ぶりの営業黒字で、液晶パネルの拡販が業績を引っ張った。しかし、牽引役の液晶が今後は一転して需要の先細りと価格下落が予想され、通期業績見通しは据え置き。中期計画の達成は楽観できない状況が続いている。

 経営再建の要となる液晶パネルの亀山第2工場(三重県亀山市)の稼働率は、9月末現在で80%程度を維持。台湾・鴻海精密工業と共同運営する堺工場(堺市)も、大型テレビの引き合いが強く、80%まで上昇したという。

 亀山第2では、利益率が高い中小型パネルの売上比率が6月までの10%から7~9月は15%程度に向上。当初予測から2~3カ月遅れのペースだが、26年3月には40%に到達する見通し。

 ただ、年末・クリスマス商戦を控えているにもかかわらず、世界的に液晶パネルの需要は減少傾向だ。調査会社ディスプレイサーチのアナリスト、田村喜男氏は、26年1~3月期の世界の大型液晶パネルの出荷枚数を、前年同期比17%減の1億5934万枚と予測する。

 「打ち切りとなった中国の省エネ家電の購入に対する補助金制度の影響で、パネルが供給過剰となり価格下落が続いている。今年10~12月は生産が盛り上がらず、26年1~3月は閑散期のため、需要は下振れするだろう」とみる。

 シャープの高橋興三社長も「(亀山第2のラインの大半を占める)32インチ型パネルは現在は原価割れはしていないが、そういう想定は必要だ」と説明。収益性の高い中小型への確実なシフトが求められている。

 財務の健全性を示す自己資本比率は、10月に実施した1265億円の増資により6月末の6・0%から12%程度に回復する。しかし26年3月には、企業年金の積み立て不足の一括計上により、8%前後に下落する見通しだ。

 再び社債を発行できる格付けを得る目安となる自己資本比率20%は遠い。高橋社長は「年末商戦がどうなるかわからず、ほっと一息とはまったくならない。まだまだ構造改革を進める必要がある」と引き締めた。(織田淳嗣)

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