丸紅、高効率の太陽光発電 受注へ経費削減や増収モデルアピール
更新丸紅が旭化成と組み、太陽電池の発電効率を高める新技術を導入した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設・運営に乗り出すことが18日、分かった。まず、宮崎県で出力1062キロワットのメガソーラーの運営を来年2月にも始め、計画中の発電所でも採用。コスト削減や増収につながる点をアピールして国内外の太陽光発電事業者や電池メーカーに外販し、システムの受注にもつなげたい考えだ。
新技術は、旭化成が光触媒の機能を使って住宅の外壁用に開発した汚れ防止のコーティング技術を応用。パネル表面に塗ると静電気の発生が抑えられ、ほこりが付着しにくくなり、太陽光の反射量を少なくできる。光の透過率が高まり、発電効率は5%ほど高まるという。
丸紅は宮崎県延岡市の旭化成の工場敷地内に約4000枚のパネルを設置し、330世帯分の年間消費量を賄える電力を九州電力に売電する。運営会社の「のべおか東海(とうみ)メガソーラー」(資本金3億円)も全額出資で設立した。
売電価格を1キロワット時当たり40円と仮定した場合、新技術を使ったこのメガソーラーでは売電収入が年間約250万円増えるという。さらにパネルの洗浄などメンテナンス費も抑えられる。
採算性の向上に取り組むモデル的なメガソーラーに位置づけ、異なるパネルで新技術を試して光の透過率などを比較するほか、送電や蓄電のロスを抑える技術も試験的に導入し、効果を検証していくという。さらに旭化成は隣接地で次世代材料を塗布したパネルの実験も行い、最先端技術の実用化を進める。
経済産業省は風力や地熱発電への投資を促すため、太陽光発電の買い取り価格を段階的に引き下げることを視野に入れており、新規参入の事業者は発電効率を高めないと採算を確保できないため、新技術を採用したシステムの商機が拡大しそうだ。
