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ネット銀行に風 コンビニATM有料化の波も、利便性で差別化

ニュースカテゴリ:企業の金融

ネット銀行に風 コンビニATM有料化の波も、利便性で差別化

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 リテール(個人向け取引)競争で、ネット銀行に商機が訪れている。三菱東京UFJ銀行が20日、コンビニエンスストアに設置された現金自動預払機(ATM)の利用手数料を有料にするなど、メガバンクや地銀が相次いで有料化に乗り出しているからだ。これに対し、ネット銀行は、無料を改めて打ち出すCMや独自サービスなどで差別化を進める。

 「個人の味方」訴え

 「ソニー銀行はATM手数料0円」。今月9日、動画サイトのユーチューブや東京メトロの車両内ビジョン、JR首都圏16駅に設置されたデジタルポスターで、この言葉を盛り込んだ動画CMが一斉に流れ始めた。

 ソニー銀が今夏に行ったアンケートでは、手数料が全時間帯0円なのを知る人が5割を下回り、認知度の低さが明らかになった。高木文隆営業統括部長は「若者に伝わりやすく差別化した訴求がしたかった」と、動画CM投入の狙いを明かす。

 自前の窓口がないソニー銀はコンビニATMを入り口に顧客を呼び込み、投資信託や外貨預金などの資産運用につなげてもらうのがビジネスモデルだ。それには入り口の敷居の低さが絶対条件。現在約8万の提携ATMがあるが、ATM設置数を急伸させているイオン銀行との提携を検討するなど、ATM網の整備を進める。「個人の味方と思われたい」(高木ソニー銀部長)とアピールに余念がない。

 2010年からコンビニATMの有料化に踏み切っている楽天銀行にも、追い風になりそうだ。楽天銀は預金残高や取引頻度に応じて楽天市場で使えるポイントをつけるなど、楽天グループの強固な基盤を生かしたサービスを展開。「他行にできない独自のサービスで勝負する」(福永耕一執行役員)余地が広がる。

 また、ネット銀行でありながらATMの入出金手数料が収益の95%を占めるセブン銀行はどうか。セブン銀はコンビニ中心に1万9000台のATMを設置し、約580の金融機関と提携している。それだけに提携行のコンビニATM有料化で、利用件数が落ちれば衝撃は大きい。

 ただ、三菱東京UFJ銀の手数料単価を「今回105円から150円に値上げした」(セブン銀の二子石謙輔社長)といい、件数が33%落ちても実入りは変わらないという。11月の中間決算発表で13年度決算の見通しを据え置いたが、件数の落ち込みが小幅であれば上方修正もありそうだ。

 収益圧迫に耐えかね手数料の有料化を実施

 一方、3メガバンクのコンビニATM手数料は、取引に応じた優遇サービスを除いて全て有料。有料化は今年だけでも東邦銀行、足利銀行、琉球銀行など地銀にも広がる。

 コンビニATMでは、顧客が現金を引き出した場合、運営会社であるセブン銀やイーネットなどに手数料(100~150円程度)を支払う。顧客の手数料が無料の場合は銀行がその分も負担しており、収益圧迫に耐えかねて手数料の有料化に踏み切ったのだ。

 これらの銀行では、維持・管理費をかけている自行ATMの無料時間や設置数を拡大している。銀行側は「必ずしもサービス劣化にはならない」(三菱東京UFJ銀)と訴える。

 とはいえコンビニATMは7月末に5万台を超え国内ATMの3割弱を占めるほどで、顧客の利用頻度も高い。支店や出張所などの統廃合を進めてきた各行にとってコンビニATMの手数料の有料化は顧客離れにつながりかねない。(万福博之)

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