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【2014春闘】金融・証券業界にも賃上げの波 3メガバンクがベア検討
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製造業を軸に進んできた賃上げに向けた動きが、金融など他の業界にも波及してきた。3メガバンクが賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)の検討に入ったことが15日分かったほか、証券大手2社も若手中心の待遇アップに動き出した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に背中を押され、業界の上位企業が賃上げの牽引(けんいん)役として名乗りを上げた形だが、経済界全体にどの程度の勢いで広がっていくかが今後の焦点だ。
ベアを検討しているのは三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行。労働組合の要求に対応し、業績動向も踏まえて最終的に判断するが、実現すれば1995年以来19年ぶり。
大手銀行は、アベノミクスに伴う株高や取引先企業の業績回復などで好決算が続く。3メガバンクの2013年9月中間連結決算は、最終利益の合計が1兆4600億円を超え、リーマン・ショック以降で最高の利益水準となった。
不良債権処理も進んだほか、法人税の納付も再開していることから「ベアを検討できる段階に入った」(大手行幹部)という。労組の要求は3月にも出そろう見通し。
一方、証券業界でも、若手社員の待遇を手厚くすることで士気を高めようと、賃上げに向けた動きが浮上している。
大和証券グループ本社の賃上げ対象となるのは、20~30代の社員が中心で、グループ全体で5000人前後。引き上げ幅は消費税の引き上げ幅(3%)を少し上回る程度の見込みだ。社員1人当たりの引き上げ額は月額で5000~1万円程度となる。
野村証券は20代の若手社員を中心とした「初級職」と「業務職」の計3800人と「一般事務補助」(身体障害者)の180人が対象。月額2%程度で、賃上げ総額は年間約3億円を見込んでいる。
2社の動きに関連し、日本証券業協会の稲野和利会長は「一時報酬かベアかは別にして、証券界が雇用者報酬の引き上げに向けて動いていけば、それにこしたことはない」と評価する。
金融業界以外にも、NTT労働組合が07年以来7年ぶりに平均3000円のベアを要求する方針。流通業界でも、コンビニエンスストア大手ローソンの新浪剛史最高経営責任者(CEO)が子育て世帯などを対象に、年収の2~3%相当分に当たる賃上げに取り組む方針を表明している。
ただ、この動きが業界上位以外の企業や、中堅・中小企業に浸透するかは不透明だ。金融業界でも、地方銀行の主な取引先となる中小企業の業績が改善し始めたばかりで、銀行が率先して賃上げに動くのは容易ではない。
福岡銀行の谷正明頭取は15日に開かれた全国地方銀行協会の定例会見で、ベアの判断基準の一つに地元企業の賃金の相場を挙げた上で、「ベアは考えていないわけではないが、具体的には決めていない」と表明。業績改善で先行する大企業を取引先とする大手行とは異なる事情をにじませた。
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NTT労働組合 月額で平均3000円のベア要求
全トヨタ労働組合連合会 賃金の1%以上を念頭にベア要求
全ダイハツ労働組合連合会 賃金の1%以上のベア要求