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「ビットコイン」なぜ注目を集めているのか 今後の普及は?
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国際基督教大学・岩井克人客員教授 インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」は今後も広がるのか。国際基督教大学の岩井克人客員教授とブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志通貨ストラテジストに聞いた。
□国際基督教大学 岩井克人客員教授
■管理する中央銀必要
--なぜ今、ビットコインが注目を集めているのか
「ビットコインは政府や中央銀行を介さず、インターネットで簡単にやりとりできる。政府や中央銀行といった権威を嫌う自由主義的思想のネット世界の人々に受け入れられている。電子記号をお金として使う場合、一度使った記号を二度と使えなくする処理が必要だが、ビットコインはきれいな形で処理しており、コンピューターを愛用している人たちの心をとらえた」
--ビットコインは貨幣か
「貨幣の一歩手前だ。大昔は貝殻や塩などが貨幣だったように、多くの人が『貨幣である』と信じることでモノが貨幣になる。ビットコインはそこまで広がっておらず、投機や資金洗浄目的で使われることが多い。投機によって値段が乱高下するビットコインは、買い物の際に使い勝手が悪い。クレジットカードやカード型IC乗車券に割り込むのも難しいだろう」
--今後普及するか
「9割くらいの確率でつぶれるだろう。投機目的で価値が高騰しているが、バブルはいつか崩壊するからだ。また中央銀行が制御できないと金融政策の効果が弱まる。このため政府や中央銀行がなんらかの形で規制に乗り出す可能性が高い」
--貨幣として流通しない
「短期的に流通する可能性が1割程度あるとみている。ただ貨幣として流通してもいずれ崩壊するだろう。貨幣とは他の人に渡す『予想』の上で成り立っているが、それ自体に価値はない。人々が価値がないと思ったらインフレを起こす。そこを最終的に支えているのが中央銀行だが、ビットコインにはそれがない。自由放任では、お金の価値は必ず崩壊する」
--中央銀行が関与しない貨幣は成り立たないのか
「そうだ。1%程度の確率だが、ビットコインが大規模に流通する可能性がある。流通規模が大きくなれば世界経済への影響が大きすぎて政府もつぶせなくなる。その場合でも、ビットコインを管理する世界的な中央銀行を作ろうという動きになるだろう」 (大柳聡庸)
□ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 村田雅志通貨ストラテジスト
■裾野の広がりを予感
--ビットコインの魅力は
「インターネット上だけで流通し、物理的な保管コストはほぼゼロ。決済のほか、国境をまたいで迅速に送金できる利便性が評価されている。世界には、金融機関に口座を持っていない人の方が圧倒的に多いが、携帯電話さえあれば取引できる点も魅力だ。通貨として流通する可能性はゼロではない」
--世界で利用者が拡大している
「需要が供給を上回るペースで増え、価格が上昇したことが大きい。きっかけは昨年3月のキプロスの銀行預金封鎖。電子上で決済でき、政府にも把握されないということで注目され、1BTC=10ドル程度から200ドルまで上がった。供給はマイニングと呼ばれる計算作業を通じて緩やかにしか増えないが、キプロス問題で投機対象としても世界の認知度が加速度的に高まり、昨秋には1200ドルまで高騰した。新たな富の受け皿となった格好だ」
--米当局は有望視。一方、中国などは警戒感を強めている
「資本規制をかけている新興国は、国境を無視して資本移動されるリスクをとりたくない。米政府も資金洗浄などに使われるリスクがあるので抑えるかと思ったが、肯定的な姿勢をとった。次の戦略産業を常に探す姿勢を徹底しているからだろう。ビットコインの裾野が広がることを予感させる流れだ」
--日本で普及する可能性は
「投機的な金融商品としての扱いから広がりが出ることはあり得る。前向きにやるためにも消費者保護的観点で政府が何らかのアクションをとってもいいのではないかと思う」
--一時的なブームにならないための条件は
「価値の根本はネットワーク効果でみんなが使うか使わないか。社会インフラのひとつにまで発展するかはユーザー数の伸びにかかっている。それを決めるのは当局の規制ではなくニーズだ。6割くらいの確率で広がると思っている。そうなれば既存の銀行やクレジット会社の収益基盤が大きく損なわれるリスクも出てくる」(万福博之)