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経済
中国禁止令引き金 ビットコイン大暴落
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インターネット上で流通し、投資商品としても取引が過熱している仮想通貨「ビットコイン」の取引価格が、中国人民元とドルに対して大暴落している。中国人民銀行(中央銀行)が今月(12月)上旬に金融機関に通知した仮想通貨に対する利用規制が引き金となり、11月30日に付けた最高値7588元(約12万9800円)が、12月18日午後には約70%安の2245元(約3万8000円)にまで下落した。ほぼ同時に、中国人民銀行のホームページが一時的に閲覧しにくい状態になり、規制に怒った投資家らが報復にサイバー攻撃をしかけたとの見方も出ている。ビットコインの信頼は一気に揺らいでいる。
ビットコインは「ナカモト・サトシ」と名乗る正体不明の人物が2008年、電子通貨の通信規約とプログラムを公表したのがきっかけで、翌年2月から利用が始まった。
世界各地の民間業者によるネット上の「取引所」に口座を開設し、手持ちの現実通貨と交換したり、取引所を介して第三者に送金したりできる。ネット上で取引するため国境を越えて瞬時に送金でき、手数料もかからない。
最近はネット上だけでなく、飲食店などで使える国もでてきた。一方で、ビットコインの取引は匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪に悪用されるケースも指摘されている。
フランス通信(AFP)や香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(いずれも電子版)などによると、中国では、投機性の高さに加え、金融機関を通さず決済するため資金の流れが追跡できないといった秘匿性の高さから、多額のアングラマネーを抱える富裕層が資金洗浄のため一斉に市場参入、ビットコインへの投資が熱狂的なブームとなった。大暴落を記録した中国最大のビットコイン取引所「BTCチャイナ」は、全世界の取引の約40%を占め、世界最大の取引量を持つ。
こうした過熱ぶりに頭を痛めた中国人民銀行は2週間前の(12月)5日、金融機関に対し、ビットコインを使った金融サービスの禁止を通達。通貨として流通させない考えを伝えた。人民元はドルと緩やかに連動する事実上の管理相場制をとっており、ビットコインによる海外送金が当局による為替管理の抜け穴になる懸念も背景にありそうだ。この日を境に売りが先行、ビットコイン市場は下落に転じた。
こうした動きに日本の取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」も影響を受け、18日だけで717ドル(約7万4500円)から480ドル(約5万円)に大きく値を下げており、ビットコインの対ドル相場は最高値となった11月30日の1200ドル台から約57%下落している。
今回の中国人民銀行の規制について、米ビットコイン財団のメンバー、ジェームス・ゴング氏はAFPに「取引所に中国元を預託できなくなるので、中国では取引所が意味をなさなくなるが、取引自体は地下に潜ったり、海外にシフトするだろう」と予想した。
ビットコインに関しては欧州銀行監督局(EBA)も13日に利用者保護の枠組みが未整備だとして、リスクに留意するよう投資家に呼びかけている。
国境を越えたネット上の仮想通貨には、取引に関わる手数料が安く、当局の規制が少ない分、リスクも徹底的に自己責任となることを忘れてはなるまい。(SANKEI EXPRESS)