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トヨタ「壊れない大衆車」抜け出せず 営業益最高更新も…ブランド力課題

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トヨタ「壊れない大衆車」抜け出せず 営業益最高更新も…ブランド力課題

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トヨタ自動車の業績  トヨタ自動車が8日発表した2014年3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前期比73.5%増の2兆2921億円と6年ぶりに過去最高を更新した。

 15年3月期も前年と比べ伸び率は大幅に減速するが、2期連続で過去最高を更新する見通しだ。前期に世界で初めて1000万台を突破したグループ販売台数も、15年3月期は1.2%増の1025万台に増加する。ただ、世界的に競争環境が激化するなかで1000万台超の販売を続けるのは至難の業。真の競争力確保へ課題が山積している。

 体質改革が結実

 「稼ぐ力は強くなっている」。豊田章男社長は、8日に開いた決算会見で、こう自信を示した。

 前期の営業利益は、米国での大規模リコール問題で米司法省に支払う和解金の計上や豪州での撤退費用などで、2兆4000億円を見込んだ2月時点の予想は下回った。

 しかし、約9000億円にのぼる円安効果に加え、リーマン・ショック以降、タイの洪水、東日本大震災などの苦難の中で、お家芸の改善活動による細かいコスト削減を積み重ね、体質改革を図ってきたことが、実を結んだ。

 収益力の高さを示す売上高営業利益率は、前期が8.9%で、今期も同水準を見込む。独フォルクスワーゲンやルノー・日産自動車連合、米ゼネラルモーターズ(GM)を凌ぐ、世界大手ではトップレベルの収益力だ。15年3月期は円安効果の剥落や消費税増税による国内販売の落ち込みなどが重なり、連結営業利益の伸び率が前期比0.3%増の2兆3000億円とほぼ横ばいに鈍化する見通し。それでも、販売面でわずかながらも伸びる現状に、豊田章男社長は同日の記者会見で、「今期は意志をもった踊り場」と述べ、持続的成長に向けた布石の年との考えを強調した。

 すでに、「経営資源を振り向けられる今こそ、思い切った変革や将来の成長に向けた種まきを進めていく」(豊田社長)として、持続的成長に向けた取り組みは始まっている。

 昨年4月から自動車事業を「先進国」「新興国」など4つの組織に分け、意思決定の迅速化を図っている。1000万台の販売を管理するうえで、車種の開発を大くくりにする取り組みも始めた。

 脱「壊れない大衆車」

 ただ、今後のトヨタにとっての大きな課題は、デザイン、ブランド力の強化ともいえる。

 ハイブリッド車(HV)をはじめとした「環境を軸にブランドイメージを作れるのは先進国でもごくわずか。まだまだ時間がかかる」(トヨタ幹部)のが実情で、世界的には「壊れない大衆車」のイメージから抜け出せていない。安心感はある一方で、感情的に買いたくなる車が多いとは言い難い。

 現状でもデザイン、ブランド力などで秀でる欧州勢に後れを取っており、高級車分野の「レクサス」はアウディやBMWといった独勢に見劣りする。中国では「アウディやBMWは高いが、レクサスならば買える」というのが購入動機とさえいわれる。

 1000万台の台数を維持していくには、短期的には、経済減速が見え始めた新興国での販売の維持拡大が重要となるが、豊田社長がいう「持続的成長を続ける」には、ブランドイメージを高めるソフト面の充実がうまく図れるかがカギを握っている。

 今後、トヨタが転換を図れるかは、豊田社長が社内外で公言する「わくわくドキドキする車」作りにかかっているともいえそうだ。(飯田耕司)

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