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コーヒー各社乱戦 高価格、コラボ店舗…コンビニと差別化加速

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コーヒー各社乱戦 高価格、コラボ店舗…コンビニと差別化加速

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 1杯1000円近い高価格帯のこだわりコーヒーを提供したり、別の業態とコラボレーションする新たな取り組みがコーヒーチェーンなどで活発化している。低価格を武器とするコンビニエンスストアのいれたてコーヒーが爆発的にヒットする中、差別化を図る動きだ。コーヒーの国内消費量は現在、中学生以上が1人当たり1週間に平均で10杯強を飲む計算だが、それをもう1杯増やそうと各社の乱戦がさらに激しさを増してきた。

 1杯800円でも納得

 1杯800円超の「ハワイコナ」のコーヒーは、通常のスターバックスコーヒー店とは違い、手でお湯を差し入れるハンドドリップ方式で丁寧にいれられる。東京・二子玉川の住宅街の外れにある「インスパイアード バイ スターバックス」はメニューとともに雰囲気も通常のスタバ店舗とは異なり、大きな窓で開放的な店内は明るく、テラス席もある。おなじみのダークグリーンの看板もない。

 機械で抽出するコーヒーも限られた店舗にしか導入されていない最新鋭のコーヒーマシンが使用され、エスプレッソは豆を選ぶこともできる。価格は400~500円程度からと若干高めの印象だが、「特に高く設定しているのではなく、扱っているものが違う」(スターバックスコーヒージャパン広報)ためだ。

 オフィス街や繁華街の従来店舗と異なり「近隣住民にくつろげる空間を提供する」というコンセプトで住宅街に出店するインスパイアードは都内で3店舗に増え、人気を集めている。

 タリーズコーヒージャパンは今年2月、東京・表参道にオープンした旗艦店に産地別のコーヒーを専門のアドバイザーが客の好みを聞きながら提供する「シングルオリジン」カウンターを設置した。1杯580~800円と高めだが、「1杯当たりの豆の量は他店の倍以上。生産者の情熱を感じてほしい」(同社広報)。来客数も順調に伸び、同様の店舗を増やす検討も進めているという。

 コーヒー卸大手のキーコーヒーは4月、3種類の新コンセプト店を一気に開店した。川崎市・武蔵小杉にはチョコレートケーキなどで有名な「トップス」と、独自のコーヒー豆熟成方法“氷温熟成”をネルドリップで提供するキーズカフェのコラボ店「キーズカフェ トップス」の1号店をオープンした。

 また、キーコーヒー傘下のイタリア料理チェーン、イタリアントマトによる新業態カフェ「ファリ・ブール」の初の店舗を東京駅八重洲地下街にオープン。ハンドドリップコーヒーにキッシュやタルトを豊富に取りそろえた。カナダ発のカフェ「ブレンズコーヒー」のフランチャイズ展開に向けたモデル店もグループ会社が東京・田町に出店。エスプレッソの表面にミルクで絵を描く“ラテアート”の模様を客に合わせて作るのが特徴だ。

 キーコーヒーの小沢信宏取締役は「グループの飲食ノウハウやリソースを有効活用し、他企業のブランドとの連携で価値を高めることができる」と、同様の店舗を拡充する方針を示す。

 競争激化し市場拡大

 コンビニコーヒーの躍進もあり、コーヒーの国内消費量は13年に前年比4.3%増の約44万6000トンと過去最高を記録。帝国データバンクによると喫茶店を経営する全国1097社の12年度の売上高合計は前年度比4.3%増と2年連続で伸びた。「業種・業態の垣根を越え、さまざまな場所でコーヒーが提供され、飲用する機会が増えてきた」(小沢氏)

 高価格帯のこだわりコーヒーやコラボ店舗などの増加も、低価格コーヒーに対抗するというよりは、「国民的飲料になってきた」(業界関係者)というコーヒー人気の高まりを機に、新たな提案で一層の需要を開拓しようという各社の思惑が強い。

 増えたといっても日本人のコーヒー消費量は1人当たり年間3キロ強で欧米よりも大幅に少なく、需要拡大の余地は大きい。

 米国では、コーヒー豆の産地やいれ方に徹底的にこだわる「サードウエーブコーヒー」の台頭が著しい。その筆頭格で、グーグル傘下のベンチャーキャピタルなどが出資する「ブルーボトルコーヒー」が近く東京に進出する見通しだ。焙煎(ばいせん)所を併設し、焙煎したてのコーヒーを提供するこだわりぶりで、業界では「黒船襲来」ともささやかれる。次々と新たな刺激が加わる競争を通じ、コーヒー市場の拡大は当面続きそうだ。(池誠二郎)

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