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惨敗、低迷、日本のテーマパーク… USJはTDLと2強時代を築けるか

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惨敗、低迷、日本のテーマパーク… USJはTDLと2強時代を築けるか

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【USJ解剖(中)】

 4月12日、東京ディズニーシー(TDS、千葉県浦安市)を訪れていた名古屋市の看護師、阪井有美さんは、ディズニーが演出する“夢の国”に迷い込んだ。

 TDSと東京ディズニーランド(TDL)合わせて6億人目の来場者となった阪井さん。3年間有効のパスポートなどが贈られ、ミッキーマウスたちに囲まれて花束で祝福されると「心臓がどきどきして…」。ディズニー流のもてなしに声を詰まらせた。

 来場者6億人は昭和58年のTDL開業から30年と363日目での達成。5億人達成からは3年と229日で、1億人ごとの達成期間としては過去最速だ。

 近畿大学経営学部の四宮由紀子准教授(観光事業論)は、TDLとTDSの強さについて、「日本の人口の3分の1が集中する首都圏という人口集積地を抱えていることが何よりも大きい」と話す。

 TDSとTDLはJR東京駅から最寄りの舞浜駅まで電車で約15分、羽田空港からも近い立地や交通利便性に加え、ディズニーという人気コンテンツやキャラクターを擁しながら新規投資で常に目新しさを演出。平成25年度の来場者数は前年度比約14%増となる3129万人と、過去最高を記録した。運営会社のオリエンタルランドは手綱を緩めることなく、今後10年間で約5千億円の投資を行う計画を打ち出しており、設備の充実で、さらに集客力を高める考えだ。開園から30年を経ても、人々を夢から覚めさせようとはしない。

 TDSと同じ13年に開業した大阪市此花区の米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)も、西日本最大のターミナル、JR大阪駅から約15分という立地条件もあり、開業直後の13年度の来場者数は1100万人に達し、当時は「東のディズニー、西のUSJ」と並び称された。

 しかし、開業2年目の14年、期限切れ食品の提供やアトラクションでの大阪府の許可量を超えた火薬使用が発覚して以降、顧客離れが加速した。運営会社のユー・エス・ジェイは当時、第三セクターで大阪市や米ユニバーサル社、民間企業が出資。低迷が続く中でも「幹部や社員に危機意識がなかった」(関係者)ことなど、寄り合い所帯の弊害もあって打開策が打てないまま地の利を生かすことなく、ディズニーの1強時代を許した。

 とはいえ、苦戦が続いたのは何もUSJに限ったことではない。そもそも国内のテーマパークは、成功例が多いとはいえないのだ。

 TDLが右肩上がりで来場者を伸ばしていた昭和62年、リゾート施設の建設で税制優遇措置などが受けられる総合保養地域整備法が制定された。日本がバブル経済に沸いた時期。「TDLに続け」と二匹目のドジョウを狙ったテーマパークの建設が全国で相次いだ。

 しかし、開業するころにはバブルが崩壊、その後の長引く不況で来場者は伸び悩んだ。交通利便性の悪い地方で集客力が劣る中、「初期投資に伴う財務負担のほか、バブル期に立てた甘い需要予測がたたり、多くのテーマパークが姿を消していった」(四宮氏)。

 ディズニーのような来場者を酔わせるテーマや高い集客力を持たず、ハコモノでしかないテーマパークでは厳しい環境を乗り切ることはできず、平成12年に「レオマワールド」(香川県)が閉園に追い込まれると、15年には「ハウステンボス」(長崎県)が2千億円を超える巨額の負債を抱え、会社更生法適用を申請した。

 一方、低迷が続いたUSJは17~18年に筆頭株主になった米投資会社ゴールドマン・サックス系ファンドのもとで再建に乗り出した。そんな中、USJで7月15日に人気映画「ハリー・ポッター」をテーマにした新エリアが開業する。ハリー・ポッターは世界的な人気を誇り、10年間はアジアの他地域での開業を認めない契約だけに、「(新エリアで)年間200万人来場者が増える」と、ユー・エス・ジェイのグレン・ガンペル社長は胸を張る。とはいえ、USJがディズニーとの2強時代を築くには、大阪市などの地元と協力し、集客力を高める努力が欠かせない。

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