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東電、10月から全国販売 電力小売り 三大都市圏で競争激化
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東京電力の顧客離脱数 東京電力は22日、電力小売りの全国展開を10月から開始すると発表した。東電が関東以外で電力を販売するのは初めて。まずは関西電力や中部電力管内に進出、自由化されている大口部門で顧客獲得を目指す。全国の電力需要の3分の1を占める東電管内には関電と中部電が進出しているほか、電力以外の業界も電力小売り参入を準備。顧客離れに危機感を募らせる東電が守りから攻めに転じることで、三大都市圏を舞台にした「電力戦争」の火蓋が切って落とされる。
「供給区域外に出ることで、競争を正面から受け入れることにした」
この日会見した東電カスタマーサービス・カンパニー事業戦略室の真田秀雄室長は越境販売に向けて、こう決意表明した。
東電は新総合特別事業計画(再建計画)で、10年後に区域外の販売電力用として、原発1基分に当たる100万キロワットの電力を調達し、1700億円の売り上げを目標とすると明記。まずは3年後に340億円を目指す。
実際に事業を受け持つのは、完全子会社のテプコカスタマーサービス(東京都江東区)で、22日に国に特定規模電気事業者(新電力)の届け出を行った。
具体的には、関東に本社を構え、全国各地に工場や店舗を持つ企業などと一括契約を結び、地元の大手電力より安い価格での電力販売を計画。「家電量販店や多店舗展開している企業などに販売したい」(真田室長)考えだ。販売する電力は、進出先の地域の大手電力から購入するほか、卸電力取引所の活用などで確保する。
2016年に予定される家庭向けを含めた電力小売り全面自由化を見据え、中部電は新電力のダイヤモンドパワー(東京都中央区)を三菱商事から買収し、昨年10月から首都圏で販売を開始。関電も完全子会社の関電エネルギーソリューション(大阪市)を新電力に登録し、今年4月から首都圏に参入している。
福島第1原発事故後、長期停止を続ける柏崎刈羽原発(新潟県)を代替する火力発電の燃料費が増大した影響で東電管内の電気料金は上昇。割安の新電力へ離脱した顧客は今年4月1日時点で約3万2000件(約620万キロワット分)に達した。
電力小売り事業は、東京ガスやJXグループ、ソフトバンクなど電力業界以外の企業も参入準備を進めており、競争激化が予想される。「通信や食品、スーパーといった顧客サービスが強い業者の参入は大手電力にとって脅威になる」(政府筋)との声もある。
東電は「管内で多数の顧客と取引してきた経験を生かし、省エネルギーを効率的に行うサービスを提供する」(真田室長)ことで、競合相手との差別化を図る考えだ。