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米が認めた京セラ「頑丈スマホ」 マニアックな独自性能は当たるか
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耐久性能の高さを売りにしたタフネススマホ「TORQUEG01」は頑丈そうな外観だ。腕時計(左)とも連携する=8日、東京都内 米国防総省が定める耐久試験を突破し、マイナス21度の極寒でも水中でも壊れない頑丈なスマートフォン(高機能携帯電話)が日本で一般向けに発売されることになった。米国で好評だった京セラの製品で、屋外スポーツや建設工事現場など過酷な環境でもスマホを使いたいという需要を見込む。韓国サムスン電子、米アップルなどの人気端末が世界市場を席巻する中、マニアックともいえる独自性能を武器に特定の市場に攻め込む京セラの戦略は当たるのか-。
この製品は「TORQUE(トルク)G01」で、同省が定めた物資調達基準「MIL-STD-810G」に準拠。30分間水に浸したり24時間塩水を噴霧しても壊れないほか、マイナス21度~50度の環境でも3時間連続して利用できる。雨が降る中や潮風が吹く真夏の浜辺、工事現場、雪山などでの使用を想定する。
耐衝撃性能も高く、人の胸の高さに相当する1.22メートルから落下させても壊れない。画面を振動させて音声を伝える独自機能「スマートソニックレシーバー」を搭載し、耳を覆うように画面を当てると周囲の音が遮蔽され、工事現場やコンサート会場、雑踏の中でも聞き取れる性能だ。
カシオ腕時計「G-SHOCK(ジーショック)シリーズ」と無線接続しメール着信などを腕時計側に知らせる機能も備えた。
トルクは、京セラがもともと日本市場に先んじて2013年に米国市場に投入され、評価された製品だ。それを受け日本では14年3月、「トルクSKT01」の展開を開始した。
ただ日本では、利用者が回線を選べる「SIM(シム)フリー」であったため価格が約10万円と高めで主に業務用として法人利用が中心だったという。
今回のトルクG01は、米国市場で培われたノウハウや機能を継承し、現場業務用のほか、一般利用者にも受け入られやすいよう遊び心のあるデザインに仕上げ、KDDI(au)夏商戦向け新製品の一つとして8日に発表された。「価格は未定」(同社広報)だが、数万円程度とみられる。販売は8月からだ。
京セラは米国市場に浸透しており、米調査会社ガートナーによると、北米でのスマホのシェア(13年)はサムスン、アップル、韓国LG電子などに続く第6位。従来型携帯電話とスマホを合わせたシェアなら第4位につける。
ガートナーのアナリストは「『タフ』を売りにしたトルクなどの健闘が理由の一つだろう」と分析。そのうえで「スマホの画一化が進む中で、京セラは戦えそうな市場を調べ、そこに特化した特徴のある製品を投入している。地道なマーケティング活動が成果を挙げている」と説明する。
日本国内ではかつてNECカシオモバイルコミュニケーションズの「G’zOne(ジーズワン)」という「頑丈」を売りにする製品が売られた時期がある。
販売終了のジーズワンの穴を埋める形でトルクが投入される形で、「北米ですでに評価を得ていることもあり、ある程度の成功は見込める」(同アナリスト)との見方が強い。
京セラはトルクシリーズなどを武器に欧州、中国など市場にも攻め込む構え。年間出荷台数は、昨年度(13年4月~14年3月)の実績の1200万台から200万台増の1400万台を目標とした。
だが、スマホの競争環境は厳しくなっている。米調査会社IDCによると、世界のメーカー別シェアはサムスンを筆頭にアップル▽中国の華為技術(ファーウェイ)▽LG電子▽聯想(レノボ)グループ-が上位を占める。
新興国を中心に低価格製品が広まり、「ファーウェイの機種は中国では1万数千円程度」(現地業界関係者)。米メディアによれば、米非営利法人モジラは今後、基本ソフト「ファイアフォックスOS」を搭載したスマホを25ドル(約2500円)で出す計画を公表し価格競争が激化している。
「頑丈」という特性を打ち出すトルクといえども、「世界で競り勝つのは容易ではない」(同アナリスト)との指摘もある。日本勢として巻き返しを図れるか、真価を問われるのはこれからだ。