東京電力は29日、経営再建の柱と位置づけている燃料・火力部門の「包括提携」の相手先について、関西電力、中部電力、東京ガス、大阪ガス、JX日鉱日石エネルギーの5社から選ぶ方針を固めた。東電は5社に、提携の具体策を30日までに提出するよう求めている。提携の中身によってはエネルギー業界再編の契機になる可能性もある。
東電は6月から5社と協議に入り、夏までに優先的に交渉する企業を選ぶ。年末までに提携先を決め、来年3月末までに提携業務を担う特定目的会社(SPC)を共同設立する。
現段階では会社ごとに提案を求めているが、資金やノウハウを補完するため、「東電+中部電+大ガス」「東電+関電+東ガス」など3社以上の組み合わせとする案も浮上している。
実質国有化された東電は、平成26年3月期決算で4年ぶりの最終黒字を確保。
ただ、抜本的な収益改善には、原発停止で膨らむ燃料費の削減が急務となっている。
このため今回の提携では、燃料用の液化天然ガス(LNG)の共同調達と老朽火力発電所の建て替えが主眼になるとみられる。
LNGのガス田開発の権益やLNG船の共同確保なども検討し、売り主に対する価格交渉力を高める。
さらに、東京湾岸にある原発10基分に相当する1千万キロワット分の火力発電所を共同で建て替える。東電はこれらの取り組みで、年間6500億円の発電コスト削減を見込む。
関電や中部電、大ガスにとっては、東電との共同調達でLNG価格を引き下げられるメリットに加え、首都圏進出への足がかりをつかむことができる。
また、東京に本社を置く東ガスとJXは、電力事業を強化し「総合エネルギー企業」への布石となるなど、包括提携が地域や業種を超えた業界再編の引き金になる可能性もある。
電力業界では、家庭向けを含む電力小売りが28年にも全面自由化される。政府は、最大手の東電を“合従連衡”の渦中に巻き込むことで、新電力も交えた価格競争を促す。