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包括提携候補5社「腹の探り合い」 1社絞り込み…東電と協議本格化

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包括提携候補5社「腹の探り合い」 1社絞り込み…東電と協議本格化

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 東京電力が経営再建策の柱と位置付ける燃料・火力部門の包括提携をめぐり、東電は名乗りを上げた5社との本格協議に入った。一時は交渉難航が懸念されたものの、東電は各社と個別に「秘密保持契約」を結び、夏ごろまでに1社に絞り込む構えだ。東電との包括提携が実現すれば、首都圏に足場を築く好機となるだけに、競合5社の水面下の「腹の探り合い」(エネルギー大手幹部)が激しくなっている。

 5社とも実績備え

 「守秘義務を課され、他社と情報交換ができない。東電から少しでも他社の提案内容を探ることができれば…」。5社のうちのある幹部は、交渉の現状についてこう打ち明ける。

 包括提携に名乗りを上げたのは、関西電力、中部電力、東京ガス、大阪ガス、JX日鉱日石エネルギー。実は、この5社に具体的な提携策を示すよう頼んだのは東電側だ。「燃料調達から火力発電まで、丸ごと東電と組む力のあるエネルギー企業を厳選した」(東電関係者)。夏ごろに優先交渉先を選定し、年末をめどに提携先を決める日程に間に合わせるためのものだ。

 だが、提携を検討する企業の間では、「実質国有企業の東電と組めば、国の意向を全面的に受け入れなければならないのでは」(大手エネルギー企業幹部)とのうわさが広がっていた。小売りを除いた提携について、「メリットが少ない」との疑問の声も上がっていた。自社のリスクを小さくしようと、他社との共同提案を模索する動きもみられた。

 そこで、東電は提携交渉を優位に進めようと、4月に5社を指名し、5月末までに個別に具体策を示すよう求めた。

 包括提携は、新総合特別事業計画(再建計画)や、3月31日に公表された具体的施策「アクションプラン」で示された。東電は、火力発電用の液化天然ガス(LNG)調達量を現在の2倍近くに増やして交渉力を高めるなどして燃料費を圧縮し、将来的には年6500億円のコスト削減効果を見込む。

 この点で、関電と中部電は同じ電力事業者としての組みやすさがある。大手電力10社の中で事業規模が大きく、首都圏では既に子会社を通じて電力小売りを始めている。

 また、東ガスと大ガス、JXエネは、LNGや原油を大量調達しているほか、国内で100万キロワットを上回る火力発電所をそれぞれ保有する。東ガスとJXエネは「東電との付き合いは長く、燃料調達などでも協力関係にある。提携の相手先に選んでもらえれば」と前のめり気味だ。5社とも、東電のパートナーになる実績を備えているといえる。

 業界再編の引き金

 ただ、東電と単独で提携を結ぶには不安要素もある。関電と中部電の2014年3月期連結決算は3期連続の最終赤字だった。原発再稼働が遅れれば、財務体質が悪化して提携どころではなくなる。東ガスや大ガス、JXエネは資金面の余力はあるが、総合的な発電ノウハウでは大手電力に劣る。

 ここにきて、首都圏に攻める関電や中部電、大ガスは「本当にメリットがあるのか、今後の協議次第」「現段階では名乗りを上げたかどうかを含めて非公表」など、慎重な言い回しだ。東電との包括提携に固執せず、幅広い選択肢を考えているもようだ。今後の包括提携交渉の中身次第では、エネルギー業界再編の引き金になるとあって、水面下での駆け引きは激しさを増している。(藤原章裕)

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