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富士山頂からドコモのVoLTE(下)試行錯誤を繰り返す…通信スピード「ドコモ優位」の理由
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iPhone/Android全体平均(「RBBTODAY」7月28日掲載から) NTTドコモが今年も富士山頂にアンテナを設置した。富士山での通信スピード調査ではau、ソフトバンクに対して優位性が示された。その結果は、調査を実施しては試行錯誤を繰り返し、改善点を見つけてきた真摯な姿勢と地道な努力に裏付けられたものだ。(長浜明宏)
ブロードバンド情報サイト「RBB TODAY」が昨年に続き、富士山5合目から山頂までを中心に44地点でLTEの通信スピード調査を実施した(「RBB TODAY」7月28日掲載)。調査にはドコモ、au、ソフトバンクのiPhone、Android端末がそれぞれ用意され、ドコモ優位の結果が出た。
ドコモが全44地点で高速データ通信「LTE」回線が使えたのに対し、auはiPhone、Androidともに1地点が3G回線だった。ソフトバンクに至ってはiPhone、Androidともに測定不能が3地点あり、残りの地点も半数近くが3G回線だった。
「電波を出しただけでは快適な環境をつくれたとはいえない。送信した後に調査を繰り返して少しずつ改善していくのがドコモのやり方だ」。ドコモCS東海 無線アクセス計画部の波多野幸泰さんは胸を張る。富士山頂へのアンテナ設置は1999年にスタート。mova(ムーバ)、FOMA(フォーマ)時代からの蓄積が今も生かされている。
クワッドバンド(2GHz、1.7GHz、1.5GHz、800MHz)によるエリア化が進む登山道に対し、山頂に取り付けた電波の増幅装置は今年も800MHz用だけだ。これまでの調査で「地形が複雑な山頂のお鉢巡りコースは800MHzの電波が飛びやすい」(波多野さん)という結果が出ているからだ。山小屋にはさらに屋内用のブースター(中継局)を設置するなど、改善点を見つけては実行し、快適な通信環境を実現している。
登山客が年々増加傾向にある中、今年はVoLTE(ボルテ=ボイス・オーバーLTE)対応端末が登場したことで大容量データの増加が見込まれている。データ通信量は賄えるのだろうか? 「基地局ごとのトラフィック(データ通信量)を毎日見ている。(トラフィックが集中する)日の出の時間帯に環境が悪くなってくるようなら、装置のバージョンアップを検討するなど状況を見つつ対応を模索したい」と真摯に答える。
登山道のクワッドバンド化についても「今年の結果をまた調査して、すぐにできることがあれば今年の夏中にしたい」と地道な努力は尽きない。
現場での作業が多いため、利用者の反応が波多野さんの耳に入ってくることは少ない。「使いづらいという声が聞こえていないということは、それは良かったかな、と思っている。『ドコモさん、使えてるよ』という感じ」。そして、昨年初めて富士山頂のアンテナ設置に携わり下山したときのエピソードを語り出した。
「途中に電話が掛かってきて下山しながら仕事の話をした。富士山でもほとんどつながる環境がつくれていることを実感した」とうれしそう。よりよい通信インフラを提供したい―。その気持ちが原動力となっている。