ニュースカテゴリ:企業
サービス
【ビジネスのつぼ】ローソン「マチカフェ」、接客・絆を重視 次世代コンビニ象徴
更新
「マチカフェ」の企画・開発に携わる販売促進担当の羽生さん(左)と商品開発の松本さん=東京都品川区のローソンゲートシティ大崎店 大手コンビニエンスストアがしのぎを削る「いれたて」のコーヒー商戦。セルフサービスによる「安くて早い」戦略が主流となる中、ローソンが展開する「MACHI cafe(マチカフェ)」は、店員による手渡しなど接客の重視と、品質へのこだわりで差別化を図った。親しみやすさと究極の便利を兼ね備えた“次世代コンビニ”の象徴となる可能性を秘めている。
ここ数年、ローソン店舗内には、レジ付近に「MACHI cafe」のロゴの入った、コーヒー色の丸い看板が急増している。看板下に設けられたコーナーには、コーヒーマシーンが設置され、カフェに勝るとも劣らぬドリンクメニューがずらり。ブレンドコーヒーやカフェラテ、抹茶ラテ、シャーベット状のフローズンドリンクのグラニッテー…。季節限定商品も入れると15種類超の品ぞろえは、他のコンビニが展開するコーヒーサービスの中で抜きんでている。
ただし、ブレンドコーヒー1杯の値段は185円(税込み)、女性に人気のカフェラテは216円(同)。競合する大手コンビニが提供する「100円コーヒー」に比べると、割安感はない。マチカフェを担当する羽生知子・広告販促企画部マネジャーは「店舗の中にカフェショップを作るつもりで、接客重視のサービスを始めた」と、狙いを説明する。
ローソンが店舗でいれたてコーヒーの提供を始めたのは、2000年代初頭のこと。これが今一つ定着せず、てこ入れをはかったのが11年9月に全国展開を始めたマチカフェだ。
コンビニといえば、「会話をしなくても買い物ができる」「早くて便利」というイメージが強かった。そこをあえて「接客重視、絆(きずな)重視をコンビニでやろういう発想で始めたのがマチカフェ事業」と、MACHI cafe推進部の松本佳代子・シニアマーチャンダイザーは話す。羽生さんも「マチカフェでローソン全体を変えようという気持ち」と、心意気を語る。
コンビニ店舗でコーヒーを売るのではなく、「街中のカフェをつくる」発想だけに、雰囲気づくりは重要だ。
メーンターゲットは20~40代の女性に据えた。ホームページをはじめ、飲み物を入れるタンブラーやマグカップなどの関連グッズは、ほのぼのしたかわいらしいデザインにして、女性に好まれそうな世界観を作り出した。店内で流すBGMのオリジナルアルバムまで発売する凝りようだ。豊富なドリンクメニューや焼き菓子、サンドイッチなどの軽食も、おしゃれ感を意識した。コーヒー豆は、松本さんら担当チームが南米の農園に足を運んで厳選し、ミルクも加熱方法を工夫して甘みとコクにこだわった。マチカフェの設置数は昨年比倍増の9100店超となり、店舗全体の8割まで増えた。
一方、11年以降のマチカフェ事業の展開とほぼ時期を同じくして、競合他社の「100円コーヒー」がヒットした。社内でも当然、「価格重視の路線がいいのでは」という声はあったという。しかし、松本さんは「価格も品ぞろえも100円コーヒーに追随するのではなく、独自路線でいけばむしろ差別化になる」と説得した。「他社と同じことをやっていては勝てない」(羽生さん)。部署をまたいで構成するマチカフェ担当チーム約10人のコアメンバーたちは、そう考えたのだ。
品質重視に加え、マチカフェの柱となるのが接客だ。セルフサービスではなく手渡しで飲み物を提供するのは、主なコンビニではローソンだけ。多少の時間はかかるものの、ローソンには「接客のいい店舗は売れ行きがいい、という全社的なデータの裏付けがある」と、李明・広報担当はいう。
マチカフェのコーヒー提供も対面販売にこだわり、接客資格「ファンタジスター制度」を社内に設立した。店舗スタッフが資格を取得することで、働く意欲の向上につなげているという。「お客さまに選んでもらえる店舗を、マチカフェを通じて作りあげている」と、羽生さんや松本さんたち担当者は感じている。
マチカフェの存在感は着実に高まっている。軽食やドリンクを含む全体で、マチカフェのリピート率は50%。人気商品であるメロンパンの25%、おにぎりのシーチキンマヨネーズの30%と比較しても高かった。粗利率も、平均の30%に比べて50~60%あり、「稼ぎ頭」となる実力を備える。
「気づいたらこんなところにもマチカフェがある、というように世の中に浸透させたい」(羽生さん)と語る担当チームは、新たなコンビニ文化をマチカフェを通じて提供していくつもりだ。