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イオン 傘下スーパー3社を来年にも統合 首都圏での業界再編加速に布石

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イオン 傘下スーパー3社を来年にも統合 首都圏での業界再編加速に布石

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イオンが出資する食品スーパー3社が統合を発表記念撮影に応じる(左から)カスミの小浜裕正会長、マルエツの上田真社長、丸紅の秋吉満副社長、イオンの岡田元也社長=2014年5月19日午後、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)  2020年めどに売上高1兆円

 イオンと丸紅は5月19日、出資するイオン系食品スーパー3社を来年3月にも経営統合して、2020年をめどに売上高1兆円、1000店舗の展開を目指すと発表した。3社は、イオンの全額子会社のマックスバリュ関東と、首都圏を地盤とするマルエツ、茨城県を中心に展開するカスミ。首都圏ではコンビニエンスストアなどと業態を超えた競争が激しさを増しており、統合で商品調達や物流などの事業基盤を強化する必要があると判断した。

 記者会見したイオンの岡田元也社長(62)は、統合によって、「新しい便利さの競争に勝ち抜く」(イオンの岡田元也社長)と語った。

 「便利さの競争に勝ち抜く」

 イオンと、マルエツに約3割出資する丸紅は、新たに共同出資会社を設立。マックスバリュ関東、マルエツ、カスミが設立する共同持ち株会社の株式の過半数を取得し、傘下に置く。

 マルエツとカスミの株式は上場廃止となるが、それぞれの会社は存続し、既存ブランドでの営業を継続する。カスミの小浜裕正会長は、統合形態について「イオンのインフラを活用した効率化と、各社の地域に根ざした独自性を確保する」ことが狙いと説明した。

 統合する3社の経営規模は、今年2月期時点での単純合計で、売上高が約5800億円、店舗数が約450店。統合後はイオングループのプライベートブランド(PB、自主企画)商品の活用やマルエツ、カスミのノウハウを取り入れたPB商品の開発などを充実させる。また、物流、IT(情報技術)の活用や電子マネーなどを共通化してコスト削減を図る。

 首都圏は、人口流入が続き市場が拡大する一方、利便性を武器とするコンビニやドラッグストアなどが出店を強化し、顧客獲得競争が激化している。(SANKEI EXPRESS

 ≪首都圏での業界再編加速に布石≫

 イオンにとって事業基盤が弱い首都圏の強化は、国内事業の最大の課題だ。3社連合の誕生はこの課題への対応となる一方、食品スーパーの今後の再編・統合を支援する狙いがあり、早くも再編の第2幕を予想する見方もある。

 5月19日の会見で、岡田社長は言及を避けたが、イオンが出資する食品スーパーのベルクやいなげや、丸紅が資本提携する東武ストアなどが連合に加わることが再編の第2段階とされる。

 イオンは、今回の連合の形成で「(各社の)経営効率化が進むメリットを明確にできれば、独立系の食品スーパーなども参加してくるのは当然」(経営幹部)ともみており、連合の拡大を視野に入れている。

 食品スーパー業界では、今年に入って百貨店大手のエイチ・ツー・オーリテイリングと、スーパー準大手のイズミヤ(大阪市)が経営統合を決めたほか、北海道、東北が地盤のアークス(札幌市)と、岩手や宮城で展開するベルグループ(盛岡市)の統合合意など、再編が加速している。

 背景にあるのは生き残りへの強い危機感だ。「食品スーパーは人の口の数と胃袋の大きさで決まる」(カスミの小浜裕正会長)と言われる中、地方で進む人口減少と高齢化は市場を縮小させ、地場スーパーの経営基盤を揺るがしている。イオン系の連合は、これらのスーパーを取り込む受け皿ともなるため、競合の流通大手なども巻き込んだ再編の動きを今後加速させる可能性がある。(平尾孝/SANKEI EXPRESS

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