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脚光浴びる積水化学のCSR 国境越え植林、全社員参加目指す

ニュースカテゴリ:企業の経営

脚光浴びる積水化学のCSR 国境越え植林、全社員参加目指す

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従業員の家族らも参加して行われた中国での植林活動=3日、中国・江蘇省蘇州市  地球温暖化対策として太陽光発電システム搭載型住宅の普及が進んでいる。同分野のリーダーが積水化学工業だ。2013年度末までの累計建設棟数は14万2996棟に達し、ギネス世界記録にも認定されているほど。この実績を踏まえ、環境貢献製品を積極投入し国境を越えた植林活動に力を入れるなどCSR(企業の社会的責任)のモデル企業として脚光を浴びている。

 重要拠点の中国

 積水化学工業は8月3日、工業都市として発展を続ける中国・蘇州市で植林活動を実施した。同社にとって中国は、グローバルな事業展開を進める上で重要拠点。自動車などに使用するガラス用中間膜、給排水管の製造拠点などを抱えており、従業員は1400人に上る。中国ではPM2.5(微小粒子状物質)をはじめとして大気汚染問題が深刻化しており、今回のイベントを通じて現地スタッフの環境に対する意識を高めていくのが狙いだ。

 積水化学工業の「積水」とは、中国最古の兵法書「孫子」にある言葉「勝者の民を戦わしむるや、積水を千仭(せんじん)の谿(たに)に決するがごときは形なり」に由来する。事業活動を進めるうえで、十分に分析・研究、準備をしてから、万全の状態で積水の勢いをもって勝者の戦いをすることが大切であるという意味だ。

 植林を行ったのは、孫子のゆかりの地でもある蘇州市の郊外、玉屏山生態園。長く採石場として利用されてきたため表土がほとんど残されておらず、数年前に発生した山火事の影響もあって、岩肌が露出する荒れ地が広がっていた場所だ。

 今回の取り組みは、積水化学が定める「SEKISUI環境ウィーク」の一環として行われた。

 同社は2012年8月に、創立65周年記念イベントとして「世界こどもエコサミット2012」を日本で開催した。世界の主要事業所の従業員の子供たち総勢85人が参加して、琵琶湖を題材とした環境学習や異文化交流を行った。

 そのエコサミットで寄せられた子供たちからの提言を受け、毎年8月にグループ全体で環境貢献活動に取り組むSEKISUI環境ウィークを設けることが決まった。

 第1回となる昨年のシンボルイベントは、タイでのマングローブ植林活動。このほか世界の事業所・関係会社で、地域の清掃活動や自然観察などを実施した。

 次の節目は1万本

 今年のシンボルイベントである蘇州での植林活動は09年から行っており、今回で12回目。前回までの累計参加者は999人で、今回の参加者を1000人目とカウントした。蘇州市も「大気汚染の防止は子々孫々にわたる大切な活動。生態保護に努めながら工業の発展を目指すモデル地域にしたい」と、積水化学の植林活動に積極的に携わっている。

 当日は根岸修史(なおふみ)社長をはじめとする経営幹部のほか、現地従業員とその家族を合わせた約170人が参加。そろいの黄色いTシャツを着用して約200本の桜の苗木を植えた。すでにこれまでに5000本の植林を終えており、次の節目は1万本となる。また、環境意識が高く、その年に最も環境に貢献した「最もエコな人」からも活動報告が行われた。

 中国での植林活動のほか、グループ各社は環境ウィークの期間中、事務所周辺の清掃活動などに取り組んだ。根岸社長は「昨年は世界の全従業員の6割が参加した。16年度までに全員の参加を目指し、環境活動の推進力を高めていきたい」と語っている。

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