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あの「餃子の王将」がフランス料理?! 「うまい」「安い」「早い」はもう古い
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餃子の材料を国産化した「餃子の王将」=大阪市中央区 「餃子の王将」が変わろうとしている。チェーン展開する王将フードサービスが今月、1日200万個を売り上げるギョーザに使用する主要食材を100%国産化した。マクドナルドが使用期限切れの中国産鶏肉を使っていた問題を踏まえ「より安心、安全で上質な料理を提供したい」というのが理由だ。一部店舗で提供していた従来より3~4割高い極王シリーズを7月から全国展開し、フランス料理などのメニュー開発まで検討。デフレ下で低価格を武器に成長した同社も最近は営業減益が続き、戦略転換を進めている。(中山玲子)
「安心して食べられるようになったと評価していただいている」
王将フードサービスの担当者は、こう強調する。
餃子の王将では、米国やカナダ産だった小麦粉とインドネシア産を使用していたショウガを国産に切り替えた。
ギョーザのあんに使っている豚肉やキャベツ、ニラ、ニンニクはすでに国産になっており、店頭には「餃子国産化」「麺も国産化」などと書かれたポスターを掲示し、食材へのこだわりをアピールしている。
使用期限切れ中国産鶏肉を使っていたマクドナルドの問題が発覚して以降、同社にも「王将は中国産の食材を使っているのか」と問い合せる電話が相次いだ。これまでも外国産の食材を使用する場合も品質管理は徹底してきたが、「安全、安心を求める消費者のニーズが国産に変わりつつある」(同社)と国産化に踏み切ったという。
国産化した食材で量が多いのは、メニュー全体で幅広く使われる小麦粉だ。ギョーザはもちろん、麺類にも使用。外部企業から調達している皿うどんの麺を除いて、ラーメンや焼きそばの麺などをすべて国産にした。全店舗で使用する小麦粉は年間約7千トンに上るため、国内での調達は困難とされてきたが、「食品メーカーから北海道産の数量確保の見通しが付いた」(同社)という。
餃子の王将では9月、豚肉や鶏肉、エビをはじめとする原材料価格の高騰や人件費の上昇を理由に、約6年ぶりにギョーザを値上げしている。メニュー全体の価格改定は約23年ぶりで、全体で5~10%の値上げとなった。
そのうえ、年間約2億円のコスト増につながる小麦粉などの国産化にあえて踏み切ったのは従来の「うまい」「安い」「早い」のビジネスモデルでは消費拡大につながらなくなったからだ。
王将フードサービスは長く続いたデフレのもとで急成長し、平成26年3月連結決算では売上高が前期比2・6%増の762億円となり、11年連続の増収となった。とはいえ本業のもうけを示す連結営業利益は前期比20・5%減の69億円と、22年3月期をピークに営業減益が続いている。
消費税増税も外食産業の消費動向を直撃しており、担当者は「(今春以降の)天候不順もあって来店客数が減少している」とため息をつく。26年9月中間連結決算の営業利益を36億円から27億円に下方修正している。
消費者ニーズの多様化に対し王将フードサービスも対策に乗り出している。
7月には、通常メニューより3~4割高い「極王」シリーズの全国展開を始めた。これまでは東日本の一部店舗に限定したメニューだったが、若者中心のターゲット層を広げるため中高年が求める本物志向のメニューを加えた。
広報担当者は「現時点で極王シリーズは売り上げ比率は全体の数%にすぎないが、少々値段は高くてもおいしい料理が食べたいという中高年を中心に支持を集めている」と話している。
さらに東京五輪の開催に向けて増加が見込まれる訪日外国人のニーズに対応するため、フランス料理やトルコ料理などのメニューを開発する仰天プランも浮上している。今後は中華料理を超えたメニューの品ぞろえにも意欲をみせている。
岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一副部長は「デフレ脱却を目指す取り組みが進むなか、低価格を求める若者を取り込むより、高品質で高価格のメニューを求める中高年にもターゲットを広げるのは効率的だ。王将は食材の国産化や価格改定でデフレ下での成長モデルからの脱却を目指しているのでは」と指摘する。
王将フードサービスの低価格路線からのビジネスモデル転換は、苦境に陥るマクドナルドや牛丼チェーンなどファストフードの事業立て直しの試金石になるかもしれない。