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“家電芸人”が火付け役? 「一芸調理家電」に注がれる男性目線

ニュースカテゴリ:企業の電機

“家電芸人”が火付け役? 「一芸調理家電」に注がれる男性目線

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油を使わずに高温の空気で揚げ物を調理できるフィリップスのノンフライヤー(手前)。男性の注目度が高い=大阪市北区のヨドバシカメラマルチメディア梅田  平成20年のリーマン・ショック以降、家庭で調理したものを食べる「内食」志向が根強い中、ノンフライヤーやティーメーカーなど機能を限定した高性能の“一芸調理家電”が人気を集めている。「男子厨房(ちゅうぼう)に入らず」も今は昔。家事を分担したり、すすんで料理をしたりする意識の広がりで、男性の購入が目立つといい、これからは「男性目線」がヒットのカギになりそうだ。(伊豆丸亮)

 夫が購入を主張

 「手軽に使えるし、おもしろそうだ」。ヨドバシカメラマルチメディア梅田(大阪市北区)の調理家電売り場では、油を使わずに高温の空気で揚げ物を調理できるオランダの電機大手フィリップスのノンフライヤーの前で、夫が妻に購入を主張する姿が目立つ。

 同店の売り場担当者によると、調理家電は女性が中心購買層だが、家庭でそばやパスタなどの麺をつくれるフィリップスのヌードルメーカーや、茶葉を粉末状に砕いて栄養豊富なお茶を家庭で楽しめるシャープのティーメーカー「お茶プレッソ」など、機能を限定した高性能な一芸調理家電の売り場では男性の購入意欲が高いという。

 このため、同店では一芸調理家電の展示台を床から高めに設定するなど、文字通りの「男性目線」にも配慮している。

 「新し物好き」を刺激

 こうした一芸調理家電市場を牽引(けんいん)するのはフィリップスだ。特にノンフライヤーは昨年4月の発売直後から売り切れが続出し、今年9月末時点で累計約40万台を販売している人気ぶり。競合他社も同様の商品を投入するなど早くも新ジャンルとして確立した。

 中心購買層を20~40歳代の女性と想定していた同社が9月に調査したところ、「購入者の半数が男性で、女性が男性にプレゼントとして買うこともあったようだ」(広報)と意外な結果に。6月発売のヌードルメーカーも購入者の約6割を男性が占めているという。

 また、シャープが4月に発売したお茶プレッソも9月末までに目標の約5倍となる11万台を生産した人気商品だが、店頭で購入した単独客のうち男性は22%、女性は15%だった。

 同社広報は「健康志向や趣味的な要素などで女性が多いと思っていたので驚いた」としつつ、「機能はシンプルでも、こだわりが出せる点が“新し物好き”の心をくすぐるのかも」と指摘する。

 市場は安定推移

 野村総合研究所の推計では、調理家電の市場規模は3500億円前後で安定しており、デジタル家電の近年の落ち込みと比較すると健闘しているという。

 また、男性向けに一芸調理家電がヒットする背景には、テレビのバラエティー番組などで俳優の細川茂樹さんやお笑いタレントの土田晃之さんら男性芸能人が家電製品について熱く語る“家電芸人”として活躍し、注目を集めていることもあるようだ。

 野村総研の笠井洸主任コンサルタントは「男性は目新しい小型のガジェット(電子機器)が好きな傾向があり、今後の調理家電には男性の視点も重要になるのではないか」とみている。

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