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LCC台頭で薄れたスカイマークの存在意義 独立経営のこだわり障害
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日本の航空業界の勢力図
衝撃の民事再生法申請から一夜明けた東京・羽田のスカイマーク本社。詰めかけた報道陣の前に、いつもなら会見者の中央に陣取るはずの前社長、西久保慎一の姿はなかった。代わって新社長に就いた有森正和がこう答えた。
記者「西久保前社長はなぜ出席しなかったのか」
有森「西久保社長は退任し、取締役も辞職した。承知していない」
それは、かつて「航空業界の革命児」「空の風雲児」と言われた西久保にしては、拍子抜けするほど静かな幕引きだった。
西久保はIT(情報技術)企業「ゼロ」の創業者として名をはせ、2003年に当時経営難に陥っていたスカイマークに私財の35億円を出資。その後、社長に就任し、高収益路線に集約することで経営を立て直した。万年赤字だった同社だが、10~11年度には2年連続で100億円を超える営業利益をたたき出した。
一方で「客の苦情は受け付けない」といったサービス理念を打ち出してみたり、機長や整備士の相次ぐ退職で大量欠航や整備トラブルも招いたりした。昨年は客室乗務員にミニスカートを着用させるなど、その言動や行動で物議を醸したことも少なくない。そんな西久保の原動力は、自社が「空の第三極」としてあり続けることだった。
「今後も独立経営を続ける。そうでなければ、スカイマークの存在意義がなくなる」
経営不振が表面化した昨年以降も西久保はあくまで自主再建にこだわり、出身地である関西のイントネーションでまくし立てることもあった。
全日本空輸、日本航空という「2強」に真っ向勝負を挑み、寡占状態だった航空業界に価格競争を仕掛けたのは自分だ、という自負も見え隠れした。
29日の記者会見でも、会長の井手隆司が「第三極として残ることが社会的役割だ」と西久保の思いを代弁した。
スカイマークは“ドル箱”といわれ、2強が「喉から手が出るほどほしい」(関係者)羽田発着枠を36枠抱えるが、井手は過去に自社が撤退した一部路線で運賃が値上がりしたケースを引き合いに出し、「36枠を維持しないと既存の航空会社で分け合うことになり、運賃は上がる」と強調した。
だが、価格競争だけが第三極の存在意義であるなら、スカイマークを苦しめた格安航空会社(LCC)が既に存在する。
現時点で国内のLCCはいずれも大手航空会社の傘下に属しているものの、航空自由化の名の下に表向きはスカイマークを支援してきた国土交通省からも「LCCが台頭し、2強に対抗する第三極の役割が薄れつつある」(幹部)との声が上がる。
スカイマークが今後も第三極として存続するには、支援企業の選定が最大のポイントになる。2強ではなく、かつて提携交渉を試みたマレーシアのエアアジアのほか、航空機のリース会社、投資ファンドなどが支援に名乗りを上げれば、かろうじて第三極の地位は維持できることになる。だが、今回の民事再生法の申し立て代理人の一人はこう言う。
「第三極を守りたいという意思は尊重したいが、それは決して2強を排除した上で支援企業を探すということではない」(敬称略)