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航空各社、燃料節約に知恵 原油安でも取り組み強化
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全日本空輸によるエンジン洗浄作業。燃費性能を1%高められる 航空各社が燃料節約の取り組みを強化している。原油価格は急落しているが、燃料使用量はコスト競争力に直結するため、削減の手を緩めるわけにはいかない。燃料消費が減れば二酸化炭素(CO2)排出が抑制され、環境負荷も減らせる。環境保護に対する社会的要請が強まるなか、「乾いたぞうきんを絞る」努力が続く。
騒音問題のため、23時に1日の運用を終える成田空港。全日本空輸の整備格納庫では、その直後から夜を徹して航空機のエンジン洗浄作業が行われる。
エンジンをスターターモーターで回転させつつ、前方からエンジン内部に温水や水を注入する。するとエンジンの後方から汚れた水が流れ出てくる。それを排水回収車で受け止め、排水処理するのが大まかな流れだ。
航空機は、飛ばすたびにコンプレッサー(圧縮機)の羽根に空気中の微少なごみやちりが付着し、運転効率が低下する。逆に定期的な水洗いを行えば、性能が回復し、燃費も良くなる。
洗浄にはエンジン1基当たり4時間を要するが、燃費効率は1%高まる。1%といってもばかにできない。東京-ニューヨーク間では片道でドラム缶約5本、全日空全体では年間1万7500キロリットルの節約となり、CO2削減量は4万3000トンに及ぶ。
洗浄は、運航への影響が少ない夜間に行うのが望ましい。ただ気温の低い夜間に行えば、水が凍ってエンジンを傷めかねない。気温が5度以下だと作業は不可能になるため、冬場にはほとんど行えなかった。
そこで同社は、水に特殊なアルコール系の薬剤を混ぜる手法を編み出し、マイナス5度以下でも作業できるようにした。
これまで冬場の夜間における洗浄は羽田空港のみで行ってきたが、今シーズンから成田、中部空港にも拡大した。
全日空は昨年4月、各部門の社員約60人が参加する社内横断組織「燃費節減プロジェクト」を3年間の予定で始動。今回のエンジン洗浄も、このプロジェクトで実施を決めた。
「今年度は680基の洗浄を計画しているが、昨年12月までに623基で実施した。おそらく計画を上回り、上回った分だけ燃料を節約できる」
プロジェクトを率いる望月吉雄CSR推進チームリーダーは計画達成に自信をみせる。
燃料を節約するには、燃費性能の高い最新機材に更新するのが最も手っ取り早い。新型のボーイング787-8は、同じ中型機の767-300ERに比べてCO2排出量が20%も少ない。
燃料使用には飛行ルートも大きな影響を与える。昨年7月、マレーシア航空機がウクライナ東部上空で撃墜された。マレーシア当局は否定するが、リスクの高いウクライナ上空を飛んだのは、客離れに苦しむなか、燃料代を切り詰めようと最短距離により近いルートを選んだためといわれる。
一方、それらと並んで効果があるのが機材の軽量化だ。
日本航空は昨年5月から、それまでのアルミ製に代えて合成樹脂製の新型コンテナを480台導入。昨年12月に120台を追加し、続けて近く500台を導入する方向だ。
100キロ近いアルミ製に対して、新型コンテナは58キロまで減量。ハチの巣に似た特殊な内部構造により耐久性も高まった。長距離路線に使われるボーイング777-300は、このコンテナを44台搭載でき、最大で約1800キロの軽量化が可能だ。
コンテナに限らず、軽量化の努力はあらゆる範囲に及ぶ。全日空は2011年10月から、米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」の客室乗務員への配布を開始。半年後に全6500人への配布を終えた。紙のマニュアルを電子化すれば、1人当たり2.1キロの“ダイエット”になるためだ。操縦士への配布も始め、13年2月までに完了している。
灯油に似た航空機のジェット燃料の価格は、原油価格に連動する。ピーク時の08年7月に1バレル=150ドル近くに達し、昨年7月時点でも100ドルを超えていた原油価格は、直近で45ドル付近まで急落。円安こそ続くものの、航空会社にとってはようやく一息つく状況となっている。燃料代は営業費用の実に25%を占め、機材購入費などをはるかに上回るからだ。
全日空の親会社であるANAホールディングスは、20年のCO2排出量を05年度比で20%減らす目標を掲げる。望月リーダーは「燃料節約や環境負荷低減の取り組みは原油相場に関係なく行っていかないといけない」と、継続的な努力の必要性を強調する。(井田通人)